第20話 メイドに押し倒される


「今日泊まってく?」


ルカの手作りハンバーグを食べた俺は自分の家に帰ることにする。もう1時過ぎだし、寝たい。


「いや帰るよ。明日学校だし」


「そう。メイドが心配?」


「違うって。俺の家に帰るだけだから」


「本当?」


「本当だよ。またアニメ見ような」


「なら許す。また汗だくになるまでアニメ見ようね」


「普通にな」


「ゆうくん酷い。でも今日楽しかった。今度は家に泊まっていってよ」


「機会があればな」


「それ絶対しないやつ」


「泊まるから!ルカとなら夜通しゲームとか出来るもんな」


「あとゆうくんとイチャイチャ出来るね」


「だ、だな。まぁそういうことだから今日一日ありがとな。俺も楽しかった」


「うんっ。またね」


「じゃあな」


俺はルカと別れ、自宅へと戻る。


部屋に入るとメイドに抱きしめられた。

勢いよく抱きしめられもんだからドアが閉まる前に外へと押し出される。

メイドに押し倒されている状態で荒い息を吐きながら頬を真っ赤に染めたメイドは潤った綺麗な碧眼でこちらを見つめてくる。


「ゆう様何で帰ってこなかったんですか」


涙を浮かべながら押し倒しているメイドはそう言う。


「寝落ちしてしまった。ごめん」


「西園寺さんと寝たんですか?」


「寝てない。何でそうなる。ただ疲れて気づいたら寝てただけだ」


「私との時間過ぎてます」


もう1時30分になろうとしている。


「悪かった」


「許しません。どれだけゆう様の心配をしたと思っているんですか!西園寺さんに変なことをされてないか心配で心配で...胸がとても苦しかったです...」


「待たせて悪かった」


「私はゆう様がいないと生きて行けないんです。だからもう1人にしないでください」


「わかった。1人にしない。ごめんな心配かけて」


「絶対ですよ」


「おう」


「それにゆう様は最低です。私をトイレから出してくれないなんて。本当最低な人です」


「ルカの圧力に負けた」


「ル、ルカ!?ゆう様と西園寺さんはいつからそんなに仲良くなったのですか!?」


「ルカに名前で呼べって言われただけ」


「本当ゆう様は酷い人です。隅にもおけない人です。なのでゆう様これは私のお仕置きです...」


メイドに押し倒された状態で頬にキスをされた。

柔らかい唇はほんのりと暖かく、メイドはしてやったりと言うかのような表情で俺の頬はとても熱い。


「......」


「......」


「ゆう様。驚かせてしまってすみません。でも私我慢出来ません」


「いや、別に大丈夫だ」


「ゆう様が嫌な気持ちになってしまいましたら私どんな罰でもお受けします。なので、私のささやかな気持ちをどうかお許しください」


「許すも何も俺が悪かったんだし。メイドは別に悔やむ必要はない。それにそれほど嫌ではなかった」


「そ、そうですか...。良かったです...」


「......」


「......」


見つめあったまま数秒が過ぎ、気まずくなったので俺が口を開く。


「と、とりあえず家入るか?」


「はいっ」


俺たちはドアを閉め、家へと入る。


「それでゆう様は西園寺さんと何をしていたのですか?」


玄関から部屋までの短い廊下の途中にメイドがそう聞いてくる。


「えーと、一緒にアニメ見たかな」


「それだけですか?」


「あ、あぁ。それだけだ」


「ゆう様嘘をつかれてますね。顔に出てます」


「ごめん」


「どれだけ謝るんですか。もう大丈夫です。それよりも1分1秒でもゆう様と愛を育みたいです」


「そうか」


「なので。ベットで一緒に寝てもよろしいでしょうか?」


「え?」


「よろしいですか?」


「よ、よろしい」


「良かったです。では恐縮ですがこれからゆう様と私2人だけの夜を楽しみましょう」


そして、メイドとの時間が始まった。

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