第4話 何故か俺のことで美少女3人が争っているんだが。


「あいつクズじゃね?www」

「クズすぎwww当人たちは三股されてるの気付いているのかwww」

「いや、気付いてなさそうwww」

「だよなwww」

「もし三又股認めていたとしたら引くわwww」

「三股認められる人なんかいねぇーよwww」

「でもさ、もし認めてくれる奴が居たら良いよなwww」

「久世もクズだったかwww」

「何言ってるんだよwww八神もそうだろ?www」

「当たり前だろwww」

「ってか学校トップ3を手込めにしたあいつは勇者すぎwww」

「狙ってた奴多かったもんなwww」

「そいつらに呼び出されて、殺されそうwww」

「明日には居なかったりwww」

「やめてwwwそれありそうすぎwww」

「それでさwwwインキャ度高まった?www」

「インキャ度wwwま、まぁ多少はな?www」

「俺も研究してるwwwこれで俺たち彼女作るwww」

「だなwww」

「それにしてもあいつ」

「「埋めてぇー」」


黒崎さんも柚木さんも最後の希望だった西園寺さんも否定してくれなくて、まさか身も蓋もない噂が真実になってしまった。それに当人たちは平然と席に座って居るし、クラス中で今なお囁かれているし、どう思っているのだろうか。

羨ましい→うざい→殺したい→埋めたい!?そんなことあって良いの?怖い、怖すぎる。俺の高校生活どうなってしまうの?休み時間ごとにトイレに連れて行かれ、別れないと殴り続けるぞみたいな展開になってもおかしくない。

はぁー、とにかく今からでも否定してほしい。


「あーし、三股とか流石に無理www」

「私も絶対別れるわwww」

「普通そうだよねwww」

「三人知ってるのかな?www」

「いやわかってないでしょwww」

「だよねwwwいっそのこと教えてあげる?www」

「無理無理wwwそんなこと真正面から言えるほどのメンタルないwww」

「とにかく今は様子伺っていた方が良いよねwww」

「だよねーwww」

「あ、そだ。私、あのインキャ狙おうかな?www」

「や、矢崎マジ?www三股のクズ狙うの?www」

「嘘嘘www深雪っちがどういう反応するか見たかったwww」

「な、なーんだ本気にしちゃったwww」

「本気にするなしwww」

「悪かったwwwまさかあいつが出てくるとは思わなかったからwww」

「それにしてもあいつ」

「「埋めたい」」


クラス中で俺が三股しているのではないかと疑惑が浮かび上がっている。ここまで噂されれば当人たちにも聞こえていると思うが。今なお、平然とした顔で席に座っている。いや、誰か否定してくれよ。すると、俺の願いが叶ったのか黒崎が席を立つ。それに反応し、みんなからの視線が一斉に注がれる。


「私が黙って聞いてれば、こそこそ私たちについて色々話しているじゃない?だから、聞こえてきたの。ゆうちゃんと付き合っている人は他にもいるの?」


クラスで話題だったその話。聞こえているのも当然で。その話を聞かれた途端クラス中が押し黙る。だが、一人の生徒も立ち上がった。


「黒崎さんー?私だけがゆうさんと付き合っているので、冗談でも付き合っているなどという言葉を言わないで欲しい〜。それと、気軽にゆうちゃんって呼ばないで?あなたが呼ぶと気持ち悪いから〜」


「柚木さんこそゆうさんって呼ばないでくれない?あなたはゆうちゃんの何なのかわかんないけど、付き合っているのは私だから」


「勘違いも甚だしい〜。黒崎さんがそこまで言うなら付き合っていたんでしょう。でも悲しい〜。そこまで妄想しちゃうんだもの、ゆうさんに何か起こるか心配〜。絶対襲わないで欲しい〜」


「なかなか言うわね柚木さん。あなたこそ彼氏が居ないからって私のゆうちゃんで妄想するのはやめてほしいわね」


「っっつ、だったら黒崎さんはど、どこまで進んだのー」


柚木が言い終えた途端、凛とした声がクラスに響き渡る。


「ちょっと待ちなさい!私を差し置いて、話さないで!私のゆうくんで争わないで!ゆうくんが好きな気持ちはわかった。でも私の気持ちの方が上回っているの!だからゆうくんの名前を気安く呼ぶな!!」


西園寺が椅子を勢いよく引き、立ち上がった。


「いきなり何?」

「西園寺さんも妄想ー?」


「違う!あなたたちが痛い人で私がゆうくんと付き合っているの!」


「まさかあなたまで妄想してるなんてね。やっぱりゆうちゃんは人気ものだわ」


「ゆうさんに惚れるのは個人の自由、でもそれは妄想だけにしてー」


「皆さん方?だったらクズ...じゃなくてゆうくんっち?に直接聞けば?」


矢崎が三人の話を聞いて提案した。後、こいつクズって言ったよな。それにゆうくんっちってなんだよ。


「そ、そうね」

「それが良いねー」

「最初からそうしてれば良いのよ!」


何でこいつらは俺を取り合っているの?そもそも一回も会話したことないよな?告白もした覚えがないし、された覚えもない。どうなっているのかさっぱりわからない。話が勝手に進みすぎだよ。

俺に聞いたところで何も答えられないんだが。

そして、俺はクラスで初めてこいつらと話をすることになりそうだ。


だが、その前に扉が開かれた。


「ご主人様。私が愛情をたっぷり注いだお弁当をお忘れになっていたようなので、大急ぎでお持ちしました」


感情の窺えない平坦な口調でそう言いながら、俺の前に姿を表す少女。肩あたりで切りそろえられたさらさらの銀髪。純粋な碧眼。思わず言葉を失ってしまうくらいの美少女がそこに居た。

幼いと表現してしまうほど小柄ではないものの、豊かな胸との相乗効果でいっそう背徳的な愛らしさを生み出している。そして、そんな少女が着ているのはメイド服だ。フリフリこそ控えめだがデザインとしてはどう見ても可愛い路線で、守ってあげたくなるような雰囲気とも絶妙に合う。

澄ましたような仕草や表情も相まって、どこか猫のような少女だと思った。


もうこれ以上キャラ増えないでくれーーーーー!!!


俺の平凡な学校生活は劇的に変わった。

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