第75話 簡単にはいかないか
三人と合流するために新たな地下空間で移動を始めた俺とシャルだったが、早速のお出迎えに遭遇していた。
ギャギャ!
グギャグギャ!
ここの迷宮に来てからは、今回初めての戦闘となる。
これまでは前菜で、ここからが本当の意味での迷宮探索ということなのだろう。
「シャルいくよ!」
ウォン!
俺は剣を鞘から抜き戦闘に備える。
シャルは元々の大きさに戻り準備万端だ。
そして俺達の目の前にいるのは、1体のダーティゴブリンと手下のゴブリン10体だ。
迷宮に入る前に読んだ資料では、このダーティゴブリンはBクラス相当の実力があるらしい。迷宮内の魔力によって強化されているとも書いてあった。
迷宮内は地上よりかなり魔力の濃度が高くなっているのでそれも有りだろう。
「さて、実際に戦ってみて実力がどうかだが」
グギャ!
ダーティゴブリンの奇声が合図となり、先ずは手下のゴブリン達が俺達の方へと突っ込んできた。
ガキィ~ン!
おぅ!油断していた訳ではないが、手下も迷宮内では強化されているようだ。
地上にいる奴らより二割増しほど身体能力が高くなっている。
シャルの方はというと、前脚でペチッと軽くあしらっていた。
体格で5倍位の差が有るから当然の結果とも言えるが。
久しぶりに見たシャル本来の能力も随分と上がっていたようだ。
いつもは大型犬ほどの大きさで過ごしているから、俺が気に掛けていなかっただけなのだ、これからはキチンと把握しておかないと…と思うのだった。
ガッゴッ!
おっと!よそ見をしている場合ではないか。
立ち会ってみて実力も把握出来たので、そろそろ決着をつけさせてもらおう。
「シャル!」
俺の合図を切っ掛けにして、二人で一気にケリをつける。
ギャギャ!
それから三分もしない内に、ダーティゴブリンの手下共は光の粒子となって消えていった。
ゴガッ!
その様子を見て、怒りの咆哮をあげるダーティゴブリン。
すると、今までよりも一回り体格が良くなり、更にダーティな様相となった。
若かりし頃の、アーノルド(T 1)のようだ。
最初現れた時よりも強化されたと考えるべきだろうな。
魔法を使って一瞬で終わらせる事も出来るが、今後の為にも手合わせはしておいて損はないだろう。
俺は鋼鉄製の剣からミスリル合金製のロングソードに持ち替えて対峙する。
ガッ!
咆哮を合図に、お互いに突っ込んだ。
ガキィ~ン、ガキィ~ン!
身体強化無しで何度も打ち合ってみたが、なかなかどうして見た目に合った戦闘能力をダーティゴブリンは持っていた。
が、身体強化無しで対峙出来るという事は、そこまで強いということでも無いのだ。
「さて、終わらせてもらおう」
俺はそう言葉にすると、瞬足を使って一気に加速、ロングソードを一閃してダーティゴブリンの首を刈った。
その直後には光の粒子となり消えていったダーティゴブリン、その後には金色に光る鍵らしきものが落ちていた。
俺はそれを拾い上げると鑑定はせずにマジックポーチへと仕舞った。
「シャルお疲れ様、先に進もうか」
ウォン!
三人と合流するべく、直ぐにその場を離れる俺とシャルだった。
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