第47話 ランドリンにて

ファーファの街を治める男爵家で、お嬢様の解呪を終わらせた俺達は、次の目的地であるボトムズ領の領都ランドリンに向けて出立していた。


「今日も天気が良くて、旅日和ですね」


「徒歩でも二日で移動出来る距離でしたよね」


「俺達の歩く速さだと、一日と半日で着くかも知れないね」


ファーファの街からランドリンの街へ続く街道は距離が近い事もあって馬車や人が絶え間なく往来して賑やかだ。


そのせいか、日中の街道には盗賊などは全く出て来ないらしい。

その代わり魔物は出るらしいが、騎士団が常に巡回していて討伐しているとの事。


その街道を予定通り歩き続け、一日と半日で無事にランドリンの街へと到着した。



「街の中はまた人が凄いね。二人共、迷子にならないようにね」


「もうエディオン様、子供扱いしないでしないで下さい」


ソフィアが口を尖らせながら物申すと。


「私は、エディオンを目印に歩いているから大丈夫ですよ」


と、こちらは至って冷静な対応の答えが返ってきた。


「この様子だと、宿を探すのも一苦労しそうだね。

取り敢えず、冒険者ギルドに行って宿を紹介してもらおう」



そんな訳で、俺達三人は冒険者ギルドへと来たわけだが、宿の空きが有りませんと受付嬢に言われてしまった。


「本当に......」


「はい!」


これは、街の外で野営をするしかないかと思案していると、受付窓口の後方から職員の女性が俺達の居る窓口へとやって来た。


「Aランクの冒険者パーティーのエディオンさんですよね」


「はい、そうですが」


名前を知っているようなので、返事を返しておいたが。


「ギルド長がお会いしたいそうなので、こちらに来ていただけますか」


その言葉に、俺は後ろに居る二人の方を振り向いた。

すると、二人が共に頷いたので...


「はい、分かりました」と返事を返して、その職員の後ろを着いていった。



「ギルド長、お連れしました」


ノックをした後、扉を開けると女性が声を掛けた。


「おぅ、入って貰ってくれ」


「失礼します」


女性が先に部屋の中に入って入口付近で立ち止まると俺達を部屋の中へと促した。


「失礼します」と挨拶をして、俺達三人は部屋の中へと足を踏み入れた。



「済まないな、急に来てもらって。

取り敢えず、椅子に腰かけてくれ。マリカお茶を頼む」


そして、マリカさんがお茶を配り終わるとギルド長が挨拶を始めた。


「俺は、ランドリンの街の冒険者ギルドでギルド長をしているフランクだ。

よろしくな。それと、秘書をして貰っているマリカだ」


「マリカです。よろしくお願いいたします」


続いて俺達が挨拶をする。


「俺は、エディオンです。それから、ソフィアとヘザーです」


「ソフィアです」


「ヘザーです」


顔合わせが終わると、ギルド長から...


「噂には聞いていたが、本当に美男美女のパーティーなんだな。

つい最近、Aランクの冒険者にランクアップしたと聞いていたから、俺はむさ苦しい連中を想像していたんだが、噂通りだったとはな」


「ギルド長、皆さんに失礼ですよ」


「いや~、済まんすまん。話が逸れてしまったな。

来てもらったのはだな、捜索をして欲しんだ」


「捜索ですか...?」


「ギルド長、言葉が足りませんよ。

私から説明させていただきますね。

先日、五日前ですがBランクの冒険者パーティー1組に、森の奥に出来たと思われるオークの集落の調査をお願いしたんですが、連絡が途絶えてしまっているんです。

そこで、ブラッディベアをも討伐出来る皆さんにBランクの冒険者パーティーの捜索をお願いしたいということです。

パーティーの人数は、男性3名・女性2名の計5名です」


「なるほど、分かりました。その依頼、受けようと思います」


「ありがとう、助かる」


こうして、俺達はBランクの冒険者パーティーの捜索をする事になった。


「エディオン。随分、あっさりと承諾したのね」


「ほら、街の外で野営するのなら捜索をしても一緒だからじゃないの」


「正解。だけどね、俺はオークの集落がどうしても気になるんだよね」


「そうね、ソフランの例もあるし」


俺達はギルドの幌馬車を借してもらい、その現場へと向かった。

今回はギルドからの依頼となっているので、レンタル料は無料タダとなっている。


ランドリンの街を出て北に進む。


草原を抜けると、景色は林から徐々に森へと変化していく。


そして、目的の深い森の入口に到着した。


ここまで、丸々二日の道のりだった。


「エディオン。魔力溜まりを感じるわ」


「こんな入口の所で...かい」


「えぇ、エディオンも調べてみて」


ヘザーさんに言われて、俺も魔力感知を使い調べてみる。


「確かに。これは、早急に対処しないと拙いね」


「エディオン様。それから気になる魔力が一つ在るんですが」


ソフィアが、違う何かの魔力も感知しているようだ。



その時、アイネ様が俺の意識の中に割り込んできた。


「エディオン、先ずはソフィアの感じた魔力の方を優先してね」


おぅ、久しぶりにアイネ様の声が...


「アイネ様がね、ソフィアの方を優先するようにだって。

もう少し詳しく場所の特定とか出来る」


「はい、エディオン様」


俺は、ソフィアが特定をしている間に、馬達と幌馬車に結界を施しておいた。

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