第44話 原因は・・・

ファーファの街に到着して三日、この街の冒険者ギルドでは俺達三人が受けられそうな依頼は無かった。


その為、早々に領都のランドリンに向かう事にした。


徒歩でも二日の距離なので、気楽な旅である。


領都へ向かう街道を、のんびりと周りの景色を眺めながら歩く。


駅馬車だと街道が綺麗に整備されているので、朝方ファーファの街を出るとその日の夕方にはランドリンの街についてしまうので味気ないのだ。


まぁ、急ぎの用事がある人に取っては便利ではあるが。


旅人には無用でしかない。


それでも、俺達は二日目の昼前には街の入口である防壁の門の所まで来てしまっていた。


街に入る為の審査を受ける列に並び、5分程で街の中へと入る事が出来た。


「審査する列が沢山あってあっという間でしたね」


「あんまり待たせちゃうと騒ぎを起こすのが出てくるから、その対策だろうね」


街へ入るとまずそこは大きな広場になっていて、待ち合わせ場所にも利用されているようだった。


ただ、その一角に見たことのある馬車とあの騎士が居るのが確認できた。


「あの馬車覚えている」


「はい、エディオン様。以前ポーションを分けてあげた方達ですよね」


「何やら、慌てているようだね」


「行って見ればわかるんじゃない」


ヘザーさんの言う事が最もだと思い、俺達三人は馬車の方へと近づいていった。


そして、俺達に気が付いたのか騎士が声を掛けてきた。


「貴殿達もこの街に」


「えぇ、つい先程着いたばかりですけど」


「そうか。済まないが、いまポーションは持っていないだろうか」


「それなら、大丈夫ですよ。この前と同じで良いですか」


「ありがとう、助かる」


前回同様、中級ポーションを3本、騎士へと手渡した。


それを受け取ると、少し急ぎ足で馬車の方へと戻っていった。


その様子を見て。


「多分、ポーションでは治らないものだね」


「そうですね。気休め程度に抑えているものなのでしょう」


暫くして、容態が落ち着いたのか騎士が俺達の方へ戻って来た。


「いま手持ちが無いのだが、後からでも宜しいか」


「えぇ、大丈夫ですよ。ギルドの方へ預けて貰っても良いですし」


「ありがとう、恩に着る。必ず、ギルドの方へ支払うから」


そう言うと、騎士は再び馬車の方へと帰っていった。


「良かったの」


「あぁ、あの騎士なら信用ができるよ」


ただ、見てはいないが馬車の中の人物の容態が気になって仕方が無かった。


俺達はそのまま冒険者ギルドへ行き、受付嬢にギルドカードを提示すると、詳細は伏せておきポーショの代金を払いに来る人が居るから、預かってくれるように頼んでおいた。



翌日......。


宿の部屋で装備の点検と清掃をしていると、宿の女将さんにが直接呼びに来た。

俺は、女将さんに言われた通りに玄関ホールへと下りて行くと、そこには騎士の女性が立っていた。


「申し訳ない。ギルドで宿を聞いて来たんだ」


「大丈夫ですよ。ここでは話づらいでしょう、二人も部屋に居ますから部屋の方へどうぞ」


俺が騎士の女性にそう促すと、騎士は頷いて後をついてきた。


「お客さんがいるんだ入るよ」


「はい、どうぞ。エディオン様」


俺がドアを開け、騎士に部屋の中へ入るように促す。


「失礼する」


顔見知りになっているので、そのまま椅子に座ってもらい話を聞く事にした。


「先にポーショの代金を渡して置きたい」


前回と同じ金額なので俺はそのまま受け取った。


「それで直接来られたということは、何か相談があるのですね」


「わかってしまうか。Aランク貴殿達なら口が堅いと思うので相談させてほしい」


「俺達で出来る範囲で有ればですが」


「あぁ、それで構わない。実は解呪出来る人物を探している。

主君のお嬢様が呪術によって身体を壊されているので助けたいのだ」


「なるほど、それをポーションで誤魔化していたと」


「そういう事だ」


「昨日の事で気にはなっていたんですが。呪術を掛けた人物は特定出来ているんですか」


「それが、いくら調べても埒が明かないんだ」


ただ、何人かの怪しい人物は判ってはいる様だが、証拠が見つからないと言う事らしい。

解呪と同時に、関わった人物全員に対して呪術返しを施せば犯人は特定出来るだろ。


ここは、主君のお嬢様の為に頑張る騎士に手助けをする事にするか。


俺は、ソフィアとヘザーさんへ視線を向ける。


そして、二人が頷いたのを確認できたので、俺は騎士を手伝う事に決めた。


「それで、解呪出来る人物ですが」


「貴殿は、心当たりがあるのか」


「え~と、俺が出来ます」


俺の返事を聞いて騎士の女性は驚きの余り目を見開いて固まってしまった。


「大丈夫ですか」


ソフィアが声を掛けるが返事がない。


しょうがないので、俺は騎士の目の前で柏手を打った。


バチ~ン!


「あっ、済まない。驚きの余り固まってしまったようだ」


「それで、どうしたら良いですかね」


「主君の屋敷まで来てもらう事は出来るだろうか」


「それは大丈夫ですが。この宿まで迎えに来てくれますか」


「あ~、そうだな。そうしないと拙いな」


そこから手順と手続きを確認して、夕方近くに迎えに来て貰う事になった。

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