第43話 ファーファでの再会

途中、イベントは有ったがトラブルは無く予定通りの日数で、俺達三人は無事にファーファの街へと到着した。


「聞いていた通りにダウニーの街よりも大きいですね」


「それに、人の多さも凄いです」


「領都の隣町で、徒歩でも二日の距離だからじゃ無いかな」


大通りを行く人の多さに圧倒されながら、俺達三人は冒険者ギルドを目指して歩いていた。


この街に来るまでの間に討伐した魔物の数が、大変な量になってしまっていたからだ。


訓練と称して、やり過ぎてしまった感が半端ではない。


だが、反省はするが後悔はしていない。


それは、俺達三人の連携訓練の為には必要な事だったからだ。



冒険者ギルドに入り、受付嬢に対してギルドカードを提示しながら、この街に初めて訪れた事を告げて解体場へと案内して貰った。


「エディオン様、こちらになります。主任、受け取りをお願いします」


「おう!いま行く」


すると、奥の方から熊みたいなガタイの良いおっさんが歩いてきた。


「ここに、出してくれ」


俺達は其々のマジックバッグから道中に倒した魔物を出していく。


「おいおい、スゲー量だな。お前ら、ランク幾つなんだ」


「一応、Aランクの冒険者パーティですが」


それを聞いて、おっさんは納得はしたようだが、量がおかしいと言っていた。


そこは、申し訳ない。


その後は受付窓口に戻り、報酬はギルドカードに入金して貰い、受付嬢に宿を紹介してもらうと俺達三人はギルドを後にした。



翌日......。


「エディオン様、宿の女将さんから得た情報なんですが、このファーファの街には領都のランドリンよりも美味しいケーキ屋さんが有るそうなんですよ」


ソフィアが珍しく興奮した様子で話しかけてきた。


そう言えば、これまでの道すがら甘い物は余り食べてこなかったと、俺は思い出した。


「じゃぁ、ソフィアの期待に応えて今日はそのケーキ屋さんに行って見ようか、ヘザーさんも甘い物食べてみたいでしょう」


「そうね、興味はあるわ」


俺達は早速支度をして、ソフィアが宿の女将さんに教えてもらったというお店へと向かった。


「わぉ、並んでいるのは女性ばかりだね」


「大丈夫ですよ、エディオン様。二人の女性が一緒に居るんですから」


「そうそう、私達の付き添いとして居るんだから気にしないの」


そうは言ってもねぇ。


背の高い美女を二人も連れていると、視線が突き刺さって来るんだが。


そして、その視線が気にならなくなった頃、俺達の順番が回ってきた。


「こちらのお席にどうぞ。後ほど注文をお伺いに参ります」


そう言うと、案内役の店員さんはテーブルを離れていった。

そして二人は、店員さんから渡されたメニューを食い入るように眺め始めた。


その後、注文を取りに来た店員さんにケーキの種類と紅茶を頼んだ。

俺は珈琲だけ頼んでケーキは止めておいた。

それは、一個が大きいサイズで胸やけを起こしそうだったから。


ケーキと飲み物がテーブルに運ばれてくると、二人は嬉々として食べ始める。

お互い違う種類のケーキを頼んでいたので、一口ずつ交換もして味比べをしていた。

俺はその二人の様子を見ながら、偶にはこういう時間も作らないとなと反省をしながら珈琲を飲んでいた。


すると、隣の席から...


「貴殿は先日の冒険者ではないか」


その言葉に、俺は隣の席の方を向いた。

そのテーブルに居たのは、確かに先日会った騎士の女性だった。


「先日はどうも。あの後は、大丈夫でしたか」


「おかげさまで、無事にこの街に到着する事が出来ました。

あなた方は、普段の格好をしていると貴族の様な優雅な雰囲気があるのだな」


其の指摘にドキッとしてしまうが...


「そうですか。一介の冒険者に過ぎませんよ」


と、答えて置いた。

先日も思ったが、良い観察眼を持っている女性である。


但し、俺の目の前にいる二人は話には興味は無くケーキに夢中となっていた。


その後、会計を済ませて店を出ると、俺達は食材補充の為に市場へと向かった。


◇◇◇◇◇


先日、ポーションを分けて貰ったAランクの冒険者と何故かケーキ屋さんで偶然にも再会を果たした。


連れの女性達も居たのだが、二人はケーキを夢中になって食べていた。


彼らが冒険者装備の時は感じなかったが、普段着を着た彼らからは優雅な所作が感じられた。


それは、周りのテーブルに居た女性達も感じていた事だろう。


そして、あれだけの端正な顔立ちに背も高ければ否応なしに注目を集める。


ましてや、一緒に居る女性達も超級品だ。


背が高くて、美人でナイスバディだ。


「羨ましい」


騎士で無ければ、私もあのような女性に成れたのだろうか。


まぁ、それは今更叶うまい。


今日は久しぶりの休暇を頂いたが、明日からは又お嬢様の護衛を頑張らなければならない。


お嬢様が病弱で無ければ、お嬢様と一緒に出歩けられるのだが。


何とか呪術によって侵されているお嬢様の解呪を出来る者を探さなくては。


男爵様も探してはいるのだが、探すのに苦労していらっしゃるご様子。

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