第32話 面倒な人達
翌日......。
ヘザーさんの防具を買いに再び街へと出掛けた。
昨日は女性物にこだわって探していたが、ヘザーさんは背が高いので男性用の防具をサイズ調整してもらう事にした。
女性の店員さんが居る防具屋さんに入り、ヘザーさんの気に入った朱く染められた革を選んでサイズ調整してもらい無事購入することが出来た。
そして、購入した革の防具を身に纏い、俺の使っていないショートソードを帯剣してもらい店を出た。
「うん、冒険者らしくなったね」
「初めてこういう格好をするので、少し違和感がありますね」
「それは徐々に慣れるしか無いですね」
格好が整ったところで、今度はギルドへ登録に向かう。
昼時なので、ギルドの中は冒険者達が出払ってガラガラだった。
空いている受付窓口に向かい声を掛ける。
「済みません。登録をお願いします」
「はい、かしこまりました。こちらの用紙に必要事項を記入の上で提出して下さい」
俺は、受付嬢から用紙を受け取りヘザーさんに渡す。
そして、用紙を受け取ったヘザーさんはソフィアに聞きながら用紙に必要事項を記入していた。
そして、書き終わった内容を確認したのちその用紙を受付嬢へと提出した。
「ヘザーさんですね。主に剣を使用。年齢が18歳ですね。
では、此方のカードに魔力を少量流して下さい」
ヘザーさんが言われた通りに少量の魔力をカードへとながした。
「はい、これで登録が完了しました。お渡ししますね」
ヘザーさんはカードを受け取ると嬉しそうに微笑んでいた。
「他に御用はございますか」
「あっ、そうだ。パーティー登録をお願いします」
「かしこまりました。みなさんのギルドカードを提示してもらえますか」
俺が二人からカードを預かり自分の分と合わせて受付嬢へと預ける。
受付嬢は俺からカードを受け取ると、そのカードを魔道具に一枚ずつ通して登録を完了させた。
「パーティー名はどうされますか」
「え~と、パーティー名は後からでも良いですか、三人で話し合いますから」
「はい、結構ですよ。では、カードをお返ししますね」
俺は、受付嬢から三人のギルドカードを受取り「ありがとう」と言うと窓口から離れた。そして、今日の所はヘザーさんの登録がメインだったので、そのまま宿へ帰ることにした。
次の日......。
ドルフさんのお店に剣を取りに行くのにまだ一日あるので、ひさしぶりに依頼を受けようと朝方からギルドへと来ていた。
「取り敢えず、ヘザーさんのポイントを増やすことをメインに選ぼうか」
依頼票の貼ってある掲示板のところへ行き、見習い用の依頼を探していく。
「やっぱり薬草採集が無難ですね」
ソフィアがそう提案してくる。
「そうだね、これなら三人で簡単に出来るかな」
ヘザーさんがその依頼票を手に昨日登録の時にお世話になった受付嬢の窓口に並んだ。
「これをお願いします」
「はい。昨日登録をされた方ですね、種類とかは分かりますか」
「三人で行くので大丈夫です」
「あっ、そうですね。あちらの方達はCランクでしたものね。
では、受付が済みましたので気を付けて行ってきて下さい」
無事に受付をする事が出来たみたいで依頼票を手にしたヘザーさんが俺達の処へと戻った来た。
......。
街の外へと出て、薬草の採集出来るエリアへと向かう。
「何人か後をつけて来ていますね」
「その様ですね」
「俺達三人が若いとみて絡んで来るかもね」
俺達の後方50m位のところを、一定の距離を置いて付いてくる冒険者達。
本人達は普通を装っている様だが、欲望が丸出しの雰囲気が漂っている。
「俺がマップ機能を使って冒険者達にはマーカーを当てておくから、ソフィアは探索魔法で索敵をお願い出来るかな」
「はい、大丈夫です」
「ヘザーさんは、薬草採集を頑張ってね」
「はい、頑張ります」
俺達は相手側が何か仕掛けて来るまでは気付かない振りをして、依頼を片付ける事にした。
「おい、どうだ」
「気付いていないようだぜ」
「まぁ、若い奴らはそんなものさ」
「でも、あんな綺麗どころが居るとは思わなかったな」
「たぶん、他所の街から来たばっかりだろう」
下品な会話を交わしながら、自分達の欲望を叶えるために三人の後をつけている冒険者達。
後をつけて来ていた冒険者達は、俺達三人が薬草採集をしている間は動く気配を全く見せなかった。
「帰り道を襲う計画のようだね」
「薬草採集が終わって、気が緩んでると思っているのかしら」
「残念な人達ですね」
既にマーカーを当てて冒険者達の居場所は把握しているので、こちらの戦闘準備は整え終わっているのだ。
そして、女性陣はやる気満々で気合の入れ方が半端ないから、俺は冒険者達の生末が心配でならない。
まぁ、同情する気はないのだが、男としては終わりを迎えるかも知れないとだけ言っておこう。
俺達三人は、何食わぬ顔をして薬草採集エリアから街に向かって帰り道を談笑をしながら気の抜けた雰囲気を振りまきながら進んで行く。
そこへ、いかにも待ってましたと言わんばかりに冒険者達が林の中から飛び出してきた。
「へへっ、おい坊主。大人しく女達を渡しな」
「嫌だと言ったら」
「こうするのさ」
取り敢えず、後々を考えて先に剣を抜かせる。
これで、この世界では正当防衛が成り立つのだ。
そう、決して先に抜いてはいけない。
そしてこの場所で、そのまま討伐してしまっても何も問題は無いのだが、これまでの被害者も居るだろうと思い、俺達は冒険者達に生き恥を晒してもらう事にしていた。
「おらぁ~、くらえや~」
稚拙な剣技で襲い掛かってくる男達。
俺はその何とも言えない技の剣筋を交わしながら腰の鞘から剣を抜いた。
取り敢えず全員と剣を交えて息を一つ吐くと、俺はその場から一瞬で離脱した。
そこへ、女性二人が剣を手に踏み込むと相手の剣を受け流しながら、男達の大事な大和に重みのある蹴りを入れていった。
そして、大和を抑えながら転がる男達。
もう二度と主砲は発射出来ないだろう。
合掌、チ~ン‼
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