第31話 フレアの街で

森の中からフレアの街へと続く街道に戻り、旅を続ける俺達三人であった。


チャンチャン‼


と、何か時代劇の終わりのような始まりになってしまったが......。


街道に戻り三日目の朝、無事にフレアの街へと到着した。


「先ずは宿を決めて、ヘザーさんの衣服と装備を整えないとね。

後は、消費した食材とか日用品の補充かな」


「そうですね」


街の中を歩きながら、街の人達にお薦めを聞いて目的の宿屋を探す。


「この宿が良さそうですね」


「そうだね、この店構えと雰囲気なら問題ないかな」


ソフィアが気に入ったという宿屋の門柱を抜けて玄関ホールへと入って行く。


「いらっしゃいませ」


宿の女将さんらしい人から声がかかる。


「宿泊を希望なんですが、部屋は空きがありますか」


「はい、大丈夫ですよ。何名様でいらっしゃいますか」


「男一人と女性二人なんですが」


「同じ部屋でよろしいでしょうか」


「え~と、ふた......「同じ部屋でお願いします」......します」


ソフィアに先手を取られてしまった。

その横では、ヘザーさんが笑いを堪えているのが見て取れた。


まぁ、しょうがない。


その後、俺達は女将さんに広い四人部屋へと案内された。


「宿は決まったし、少し休憩してから買い物に行こうか」


「「は~い」」



お昼前......。

街の商店街へと繰り出した俺達は女将さんに教えて貰った服屋を探して歩いていた。


「あそこじゃ無いですか」


「そうだね。看板に『薔薇の芳香』と書いてあるね」


前世が日本人の俺からするとチョット怪しい雰囲気の店の名前なのだが。

女将さんに言わせると、ここのお店でしかロングサイズの服は扱っていないらしい。

ソフィアが170cmでヘザーさんが175cmも背丈があるのだからそこは仕方が無い。

しかも、二人とも発育が半端ではなく良いので行くしかないと諦めよう。

そして、俺はあの雰囲気の人が居ない事だけ切に願っていた。


「いらっしゃいませ」


と、頭を下げて迎えてくれる店員さん。


そして、ホットする俺が居た。


「済みません。この二人に合う服をお願い出来ますか」


「はい、かしこまりました」


そう言って、下げていた頭を上げて二人を見た瞬間、もの凄く嬉しそうな笑顔をしてその店員さんは「まぁ、こんなに奇麗な方が来られるなんて嬉しいです」と言うと、すぐさま二人の手を取って商品のある方へと連れて行った。


そして、ここに一人残された俺はどうすれば良いのか...



1時間後......。


暇つぶしが大変だった俺の下に、満足げな顔の店員さんと綺麗に着飾った二人が戻ってきた。


「「どうでしょうか」」


「二人とも凄く似合ってるよ」


俺が見てもその姿はまさしくランウェイを堂々と歩くモデルさんのようだった。


その後、お店の会計を終わらせて、再び商店街の中をブラブラとする俺達三人。


その際、二人は絶賛注目の的だった。


まぁ、俺も見られていた感じはしたが、それは男共の嫉妬の視線だった。


......。


三人でぶらついていると時刻もお昼時になり、食事処で昼食を済ませると午後は装備を見に行く事になった。


防具屋と鍛冶屋を順番に見ていく。

何か所か見て回ったが、女性用の防具を扱う所が少なかったのでこの日は見るだけにして防具は購入しなかった。

次に、鍛冶屋では一軒だけドワーフのお店があったのでそこで商品を見せてもらう事にした。


「ふむ、おい坊主...その腰にある剣を見せてくれ」


急に言葉を掛けられたが、嫌な所は感じられなかったので俺は素直に帯剣している剣を鞘のまま手渡した。


「ほ~ぅ、これはあいつの打った剣か」


「あいつと言うと、ガッツさんの事ですか」


「そうだ。あいつは元気にしていたか」


「はい、ハミングの街で元気に鍛冶屋をやっていましたよ」


「そうかそうか、ならいい。それで、今日は...」


「はい、彼女の扱える剣を探していまして。お願い出来ますか...」


「ガッツの知り合いだ。任せて貰おう」


そう言うと、店の奥へと招かれて裏庭で待つように言われた。


「そう言えば、挨拶もしてなかったね」


「まぁ、こちらにいらしてからでいいんじゃ無いですか。気にしている感じじゃないようでしたから」


と、ヘザーさんはどっしりと構えていた。


数分後...。


何種類かの剣を用意した鍛冶屋さんが戻って来た。


「待たせたな」


「いいえ。その前に先程挨拶をしていなかったので」


「そう言えば、そうだったな。ワシはドルフじゃ」


「俺はエディオンです。そして、ソフィアとヘザーです」


「ソフィアです」


「ヘザーです」


挨拶が終わり、仕切り直して運んで来て貰った剣を見ていく。


「ヘザーさん、一つずつ手に持ってみて馴染むもの使いやすい物を選んで下さい」


俺がヘザーさんにそう言うと。


「坊主、いや~エディオンか。ガッツの剣を使って見せてくれ」


「はい、分かりました」


俺は、向こうでも同じ事をしたなと思いながら剣技を披露した。


「ほほぅ、何とも凄いな。...3日後にまた来てくれるか」


「いいですよ」


俺が剣技を披露した後、ドルフさんに返事を返していると、ヘザーさんも自身の剣を選び終わったようで、これにしますと言って剣を見せにやって来た。


そして、ヘザーさんが選んだ剣は仕上げが必要なので、同じく3日後に取りに来るようにとドルフさんに言われたのだった。

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