第30話 解決と今後の事
大蛇で神獣のヘザーさんが人型となり意識を取り戻してから2時間。
テーブルを囲って俺とソフィアと紅茶を飲みながら事の経緯を話してくれた。
その結果、扉の奥にあったのはやはりヘザーさんの卵で三ヶ月ほど前に産み落としたらしい。
そして、神獣の卵は交尾によって出来るのではなくて、体内で蓄積された魔力が変質して出来ているらしい。
そのことは、今回初めて知り得たことで神獣という物の不思議を感じた。
そこで、気になったのが。
どうして瘴気に侵されてしまったのかと言う事だった。
そして、その原因となったのが泉であるという事らしい。
上位の冒険者パーティーがこの森に生息するブラッディウルフの上位種ダークサイドウルフの討伐には成功したのだが、死して尚禍々しいオーラを放ち続けるウルフに手を焼き持ち帰ることを諦めて埋葬するのではなく泉の中に放り込んで去って行ってしまったらしい。
なんとはた迷惑な冒険者達だろう。
最初、ダークサイドウルフが放り込まれた事に気付かなかったヘザーさんは喉が渇くと泉の水を飲んでいたらしい。
だが、時間とともに清涼な泉の水はウルフの瘴気に汚されて行ったとの事だった。
そこから急激に体内で瘴気で侵された魔力が蓄積されて卵となってしまったと。
そして、卵を産み落としてからは瘴気が拡散しないように頑張っていたのだが神気が底をつきかけて動けなくなっていたらしい。
「それでヘザーさん、あの卵はどうすれば良いですか」
「あれは瘴気の塊ででしか有りませんので、出来れば浄化して消し去って下さい。
それと、泉の底にはまだダークサイドウルフの魔核が残っているいると思うので回収をお願いしたいのです」
「分かりました」
詳しい話を聴くことが出来た俺は、ソフィアとヘザーさんの二人に明日すべての事を処理すると伝えてこの日は休むことにした。
翌朝......。
早々に朝食を済ませ、泉の底から魔核を引き揚げる作業を始めた。
100m四方ある泉の底を探るため、三人で探査魔法を駆使して魔核のありかを探していく。
2時間後......。
「エディオン様、見つけました。これで間違いないと思います」
俺は、ソフィアと手を繋いで情報を共有していく。
「これだね、確かに間違いないね。ヘザーさんはどう」
ヘザーさんもソフィアと手を繋いでいる。
「はい、間違いないです」
俺達は手を繋いだまま、情報を共有して魔核を引き揚げる為の魔法を行使する。
「「「gathering 《ギャザリング》」」」
すると、対象とした辺りの水底が魔法陣で明るくなる。
そして、魔核が魔法陣と共に水上へと引き揚げられてきた。
その魔法陣を岸辺へと移動させる。
「このまま、浄化の魔法へと切り替えよう」
「「はい」」
そのまま手を繋いだ状態で、次に使う魔法へと情報を共有して行使した。
「「「purification《ピュリフィケーション》」」」
一瞬の内に魔法陣が切り替わり、浄化の魔法が発動する。
そして聖光が収まると、そこにはキラキラと透明に輝く魔核が残されていた。
「これで、害は無くなったね。今度は洞窟の中の卵だね」
「そうですが、エディオン様。少し休憩してからの方が宜しいと思います」
「あっ、そうだね。二人にも頑張って貰わなくちゃいけないから休憩しよう」
1時間後......。
俺達三人は、洞窟の中へと移動していた。
「結界で囲っておいたから、瘴気は漏れていないね」
「はい、大丈夫そうです」
「じゃぁ、扉を開けて奥の部屋へ行こうか」
扉を開けても空気の澱みは感じられなかった。
そのまま奥へと進んで、結界で囲った卵の所までたどり着いた。
「結界で囲った時と変わらないね。成長は止まっているようだ」
俺達は直ぐに浄化の魔法の準備に取り掛かった。
三人で手を繋いで情報の共有をする。
そして、浄化に必要な魔力を練り上げていく。
「「「purification《ピュリフィケーション》」」」
卵の上に魔法陣が現れ、聖光の光が耀きながら卵の上からの下へと移動していく。
そして、魔法陣が地面に到達すると中心にあった卵が光耀きながら光の粒子となって消えていった。
「これで、アイネ様の依頼は完了かな」
「はい」
この後、俺達三人は洞窟を出て遅めの昼食を食べ、紅茶を飲みながら寛いでいた。
夕刻......。
この日もここで野営をする事になったので、テントを大きめのテントに取り換えて今後の事の話し合いをする事にした。
「ここに来てもう三日も過ぎたんだね」
「はい、凄く濃い内容でした」
「私は、お二人に助けて頂いたので助かりましたが」
「それは、アイネ様からの依頼でしたから気にしなくて良いのですよ」
「ヘザーさん、ソフィアの言う通りですから気にしないで下さいね」
その後、色々と話をした結果、ヘザーさんも旅の仲間に加わる事となった。
今回みたいに力を合わせた方が早く解決出来るので、こちらとしても歓迎するのは当たり前のことだった。
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