第16話 校外実習が始まる

中等部の授業が始まってから二ヶ月が過ぎ、魔法の実践練習や剣の訓練も本格的に行われるようになって来ていた。


そんな中、成績が優秀な学生を選抜して討伐訓練が行われる事になったとホームルームの時間に発表された。


学園の中等部には、各学年ごとにA~Eの5クラスがあり、各クラスに20名の生徒が在籍している。

その中から選抜する人数は、各学年よりクラスごとに魔法の得意な生徒2名、剣の得意な生徒2名を選ぶ事になったようだ。


俺の在籍している1年A組の教室からは、俺、ユーナ、アダム、サーニャの四人が成績の順位で選ばれた。


そして、討伐隊を編成するにあたっては、三学年混合でA~Eのクラスで振り分けを行った。



討伐訓練、当日......。

1年A組の俺達は、2年A組、3年A組の先輩方と共に行動することになっていた。

そして、ルージュの街の外へ向かうので、集合場所に指定された南門前の広場に来ていた。


「みんな、揃っているね。これから僕達は、学園から指定された場所を目指して移動する。1年生のみんなは初めての討伐訓練になるから、僕ら先輩が模範を示していくからしっかりと覚えるようにして欲しい。では、出発しよう!」


3年生の先輩の号令で、総勢12名の移動が始まった。


街から出て、街道を南下して行く。


街道を1時間程歩き、脇道に入り30分程進んだ処で先頭を歩いていた先輩が足を止めた。


「先ずは、拠点の為のテントを設営しよう。2年生頼めるかな」


「はい、了解しました」


2年生の先輩方がテントを手際よく設営していく。

その間に、3年生の先輩方がテーブルなどを設置していった。


これらの設営道具は、学園側が収納の魔道具に一式用意していて討伐訓練の時に貸し出しをしている。


「1年生、拠点作りはこんな感じだ。じゃぁ、隊の編成を行うから集まってくれ」


3年生の先輩が用意した編成表の指示された場所に、自分で名前を書き込んでいく。


「全員、自分の名前を書いたね。

編成表の通り討伐訓練は二班に分けて行う。

まずA班が先に30分、その後B班が30分という具合に交互に交代しながら訓練をしていくからそのつもりでいて欲しい。

そして、1年生のみんなは最初の30分は各班の後ろで見学をしておいてくれ。

それから、今日の討伐対象の魔物はハングリーラビットだ。

では、10時になったら始めよう」


こうして、学園主導での在学生による討伐訓練が幕を開けた。


1時間後......。

一度目の訓練が終わり、拠点のテントの傍で1年生の俺達は集まって休憩を取っていた。


「エディオン君、先輩方の様子はどうだった」

「まずまずじゃないかな。学生では優秀だと思うよ」

「そうそう、魔法の扱い方も私よりも凄く上手だったよ」

「私もそう思った」


「午後から始まる二度目の訓練では、少しづつ参加させて貰えるようだから俺達も頑張ってみよう」



午後1時......。

今日、二度目の訓練が始まった。俺はB班に入っているので、まだ拠点のテントの側で待機していた。


「エディオン君、少しいいかい」

「はい、何でしょう先輩」


「エディオン君は、領主様のご子息だから騎士団の討伐訓練にも参加したりしているんだろう」

「そうですね。訓練の一環として参加させて貰っています」


「もし、僕たち先輩でも対処出来ない魔物が出てきたら討伐をお願い出来るかな」

「それは勿論です。いざという時は任せて下さい」


「ありがとうエディオン君。頼んだよ」


30分後、A班が訓練を終えて拠点のテントへと戻って来た。



いよいよ本日の〆となる、B班による討伐訓練が始まった。

B班は、2年・3年の先輩5人に、俺が加わった編成となっている。


俺は先輩方の後ろ、最後尾に居て探索魔法を使って索敵しながら先輩方に着いていく。


この辺も、ハングリーラビットが増えていたようで、適度に戦闘をこなしながら討伐をしていく。


そんな中、俺の索敵に違う魔物の反応があった。

俺は一際大きな声で、先頭を歩いている先輩に急を知らせた。


「先輩‼ 一旦、退避しましょう」

「分かった。みんな拠点まで撤収する急げ」


俺達は、駆け足でテントのある拠点へと退避した。


「エディオン君、どんな魔物か分かるかい」

「索敵で探知した様子から判断すると、ウルフ系の魔物ですね」


「数は、どれくらい居るのか分かるのかい」

「数は3匹ですね」


「そうか! 取り敢えず、2年・3年は集まってくれ。作戦を立てよう」


5分後、話し合いは纏まったようだ。


「俺達、2年・3年生が魔物と戦うから、1年生はテントの中に居て動かないように。そして済まないが、エディオン君は俺達と一緒に戦って欲しい」


先輩の言葉が途切れた途端、オオカミの遠吠えが聞こえてきた。

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