第14話 二人の兄は訓練を始める

翌朝......。

俺とジェフリーは家族揃っての朝食を終えた後、父さんから午前9時までに騎士団の訓練場へ行くようにと言葉を掛けられた。


「おい、ジェフリー急げ」

「分かっているよ、アンソニー兄さん」


俺達は急いで自室に戻り装備をまとめると、騎士団の訓練場へ向かった。



「お二人共、準備は出来ましたね」


「「はい!」」


「本日の訓練では、わたくしアンジー第二副団長が、お二人の訓練を担当する事になっています。

では、訓練を始める前に少々の説明をさせて頂きます。

ここ訓練場内に置いては、お二人の敬称は無しで対応させて頂きます。

そして、怪我などをしない為にも、こちらの指示には必ず従って下さい。

それから、体調が悪くなった場合、用を足したい時は我慢せずに遠慮なく申し出て下さい。万全の態勢で訓練する事が大事ですから。よろしいですね」


「「はい‼」」


「先ずは、あそこで整列を始めている団員達と共に装備を装着したままで走り込みをしてもらいます。では、参りましょう!」


こうして、俺とジェフリーの夏季休暇中の訓練が始まった。



一日目......。

それはもう、二人共ボロボロのボロ雑巾のような有り様だった。

そして、訓練の最後までは参加出来ずに、この日の訓練は終了した。


三日目......。

少し体が慣れて来たのか、ボロのボロ雑巾で済んだ。

だが、やはり訓練の最後までは参加できなかった。


七日目......。

何とか、ボロ雑巾で済むようになって来た。

そしてついに、訓練の最後まで参加する事が出来た。


十日目......。

やっと、まともな状態で訓練を最後までやり抜く事が出来た。

但し、俺達が参加しているこの訓練は、騎士団に入隊して一年目の団員達の強化訓練であり本隊の訓練ではない。



ぜぇ~ぜぇ~...はぁ~はぁ~...


「兄さん、今日も何とか最後まで着いていけたね」

「これで、入隊一年目の訓練だからな」


俺とジェフリーは学園で生ぬるく訓練していたんだなと、改めて反省していた。



◇◇◇◇◇


「スコット団長、どうだアンソニーとジェフリーは...」

「十日目になり、訓練自体には着いて来れるようになりました」


「そうか。でもまだ入隊一年目の訓練内容なんだろう」

「そうですが。まぁ、まだ高等部に進級したばかりのお二人ですから、これからでしょう」


「それはそうなんだがな」


◇◇◇◇◇



ひと月もあった夏季休暇も終わりが近付き、俺とジェフリーは王都の学園に戻ると事になった。


父様の執務室に挨拶に訪れた俺とジェフリー。


「父さん、有意義な夏季休暇を過ごす事が出来たよ」

「父さん、俺も兄さんと同様に過ごすことが出来て良かったよ」


「そうか、頑張ったんだな。王都の学園に戻っても訓練は怠るなよ」


「「はい、肝に銘じて訓練に励みます」」


その後、家族全員と屋敷の中の使用人達に見送られて、俺とジェフリーは王都の学園に向けて出立した。



「父様、兄さん達は随分と精悍な表情に変わりましたね」

「そうだな。騎士団の訓練を真面目に取り組んだ成果だろう」



へっくしゅん!


「大丈夫かい、兄さん」


へっくしゅん!


「ジェフリー、お前もな」



「兄さん、そう言えばエディに手紙の事を聞くのを忘れていたよ」

「あ~、すっかり忘れていたなぁ」


エディに聞き忘れていた俺とジェフリーは、次の冬季休暇の時に聞く事にした。

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