第11話 騎士団の訓練へ同行してみた 2
午後の討伐訓練も順調に進んでいたのだが、終了間際になってこの日初めての問題が発生した。
俺の探索魔法のエリアの外から大型の魔物が5体、探索魔法のエリア内に侵入して近付いて来ていた。
「父様、5体の大型の魔物がこちらの方に近付いてきます」
「それは本当か、エディ。それで、それはどの方角から来るのか分かるのか」
「このテントを起点にして、方角は北東方向で距離は今900m位です」
「そうか、分かった。スコット団長緊急事態だ、みんなを集めてくれ」
「はい、了解しました」
スコット騎士団団長が、父様の指示に従って速やかに風魔法の拡声を使用して討伐に出ている団員達に緊急事態を伝える。
すると、10分もしないうちに騎士団の団員全員が帰還しテント前に集合した。
集まった団員に、父様が状況の説明を始める。
「エディの探索魔法で5体の大型の魔物が感知された、このテントを起点に北東方向で距離は......」
「父様、後500mです」
「後500mの所まで来ている、全員速やかに戦闘準備を整えてくれ」
10分後、その大型の魔物5体が、お俺達の前にその姿を表した。
「ブラッディウルフだな」
「父様、ブラッディウルフとは」
父様の説明によると、体毛が赤黒く瞳の紅が特徴で、狙った獲物の流す血を見ると何故か狂暴化するらしい。そして、その時の能力は通常の1.5倍へと上がり倒すのが厄介になるとのこと。
「父様、団員達は大丈夫でしょうか」
「多少の怪我はするだろうが大丈夫だろう。今日は団長を含め精鋭ばかりが来ているからな。それに治療班も3人来ているから体制としては万全だろう」
俺が父様の話を聞いている最中に、騎士団とブラッディウルフとの間で戦闘が始まった。
ブラッディウルフの方は5頭の内、4頭が戦闘に参戦して1頭は後方に控えて戦況を判断している様子だった。
「父様、後ろにいるあの1頭が群れのボスでしょうか」
「あの様子からすると、ボスで間違いないだろう」
俺は、ブラッディウルフとの戦闘をしている騎士団の働きに対して、何かしらの助力をする手段は無いかと思考を巡らせる。
ボスのブラッディウルフに気付かれる事無く、遠距離の攻撃で討伐できれば良いのだが。
そこで俺は女神様から教えて貰った攻撃魔法の中に、いま使える魔法が無いか思考の中で確認していった。
そんななか俺の思考の中に突然、女神様が割り込んできた。
『エディ君、ここは草原だから植物を使った拘束の魔法と土魔法の槍を同時使用でどうかしら』
『ブラッディウルフに魔力感知されませんかね』
『あの個体には、そこまでの能力は備わってはいないようよ』
『女神様が言うのなら大丈夫ですね』
『但し、イレギュラーはあるかも知れないから、思考の中でしっかりとイメージして瞬時に発動するのが正解よ』
『はい、分かりました。アドバイスをありがとうございます』
俺にアドバイスを終えると、女神様は俺の思考の中からその存在を消した。
いま現在、騎士団の方は5人一組でそれぞれがブラッディウルフ一頭を相手に戦闘を繰り広げている。
ただ、ブラッディウルフの体毛は守りが堅いのか剣で切りつけても傷を追わせられてはいないようだ。
突き刺すにはかなりの勇気を持って、ブラッディウルフの懐深くにまで飛び込まないといけないので現実的ではない。
「父様、試してみたい魔法があるのですが使用してもいいですか」
「戦闘中の中に割り込むのは無しだぞ」
「はい。狙うのは後方に居るブラッディウルフの方です」
「そうか。それなら離れているから許可しよう」
「父様、ありがとうございます」
俺は、父様から魔法の使用許可を得る事が出来たので、女神様のアドバイスに従って後方に居るブラッディウルフに対して攻撃魔法を瞬時に発動した。
ガゥッ‼
一声発した後、横倒しになるブラッディウルフのボス。
そして、ボスの発した声と横倒しになる姿を確認した父様は俺の方へと振り返ると驚いた顔をしていた。
そして、ボスが倒された事で動揺したその他のブラッディウルフ、その隙を付て騎士団の団長以下その他の団員が一丸となって攻撃を仕掛けると、残りの4頭も間を置かずに討伐する事に成功した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます