第10話 騎士団の訓練へ同行してみた 1
女神様からの依頼を終えた後、俺はしばらくの間はのんびりとした学園生活を過ごしていた。
するとある日のこと、次の学園の休みの日に騎士団の訓練に同行してみないかと父様が俺に提案をしてきた。
「エディ、父さんと一緒に騎士団の訓練に参加してみないか」
「父様、俺は良いけど。団員の人達に取っては迷惑なんじゃ」
「それは無い、大丈夫だ」
「そうですか、分かりました。それなら、訓練に参加させて貰います」
そして七日後、俺が訓練に参加する日がやって来た。
午前7時、東門前の広場には父様と俺、騎士団の団長以下25名が集合していた。
「スコット、準備は出来ているかな」
「はい、いつでも出発出来ます」
「良し、では出発しよう。スコット、号令を頼む」
「これより、魔物の討伐訓練に出発する。全た~い、動け~!」
俺達は東門を抜け、隣の領地に向かう街道を進んで行く。
そして、街道を30分ほど進んだ所から脇道に入り、領地の東側に拡がる草原の中を目的地に向かって移動していった。
脇道に入ってから1時間、目的の場所へと到着した。
「全た~い、止まれ~!」
スコット騎士団団長の号令で、父様と俺を含め騎士団全体がその場で止まる。
「本部の設営開始。かかれ~!」
直ぐさま、今度はロバート第一副団長が次の指示の号令を発した。
それを見ていた父様が......。
「スコット、良く訓練されているな」
「ありがとうございます。今回はエディオン様も来られていますので、みんな気合が入っているようです」
「そうなのか」
「はい、小さい頃からエディオン様が騎士団の訓練場で自主訓練をしているのを遠巻きにみんなが見守っていました。そして、今回の訓練にエディオン様が参加されるということで、みんなは心待ちにしていたんです」
俺は父様の横で、その話をスコット団長さんから聞かされた事で、恥ずかしさから顔が茹蛸の様になっていくのを感じていた。
そんな中、設営が終わったようで......。
「設営、完了しました‼」
と、アンジー第二副団長が設営が終わった事を報告に来た。
「では、本部のテントへ参りましょう」
スコット団長の言葉に、父様が俺の肩に手を置いて歩き始める。
俺達が本部のテントに到着すると、直ぐに団員達がテントの前で整列を始めた。
そして、整列が完了すると......。
「これより、本日の討伐訓練を開始する。
先日行ったミーティングの内容をしっかりと確認して、各グループその通りに先ずは行動するように、そして不測の事態が起きた場合には、臨機応変な対応が出来るように対処して欲しい。では、討伐訓練開始~‼」
スコット騎士団団長さんが、訓示と号令をかけ討伐訓練が始まった。
今日の討伐訓練は、5名一組の4グループ構成で討伐に当たるようだ。
本部には、父様と俺、スコット団長、治療班三人、そして給仕係が一人が残っている。
今回の討伐対象となっているのは、この草原で増えすぎたハングリーラビットだ。
名前の通り食欲旺盛で数が増えるのが早く、近隣の農家が栽培している作物を食い荒らすと言う被害が多くなって来ているからだ。
定期的に農家の方でも狩りはしているようだが、数が増えすぎて手に負えなくなると騎士団が出向いて間引きをするらしい。
それが、今回のように討伐訓練として行われる事になる。
本部のテントの中では、父様とスコット団長が大人の会話をしているので、俺は暇を持て余していた。
そこで、テント自体はオープン形式の屋根だけのテントなので、その後ろで身体を動かそうと思い父様に声を掛けた。
「父様、身体を動かしたいのでテントの後ろにいます」
「そうだな。見えているから良いだろう」
父様に許しを得たので、俺は早速後ろに移動して身体を動かし始めた。
そして、俺は身体を動かしながらも、探索魔法を使って周囲1㎞を警戒することにして、団員達には緑のマーカーを点けて、魔物には赤のマーカーを点けた。
これで、不測の事態が起きた時に、少しは早く対処できるだろう。
午前の討伐訓練は何事もなく無事に終わり、昼食と休憩を挟んで午後の討伐訓練が始まった。
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