第3話 学園への入学
7歳の誕生日を迎えて、俺は双子の姉さん達が通う領内の学園へ入学する事が決まった。
俺の二人の兄達は王都にある学園に進学していて寮生活をしているので、こちらに帰ってくるのは夏と冬の長期休暇の時だけだ。
俺は三男なので面倒くさい王都の学園には行かずに、領内の学園に入学する事を小さいころから既に心の中では決めていた。
ただ父様と母様は、頭の出来が良い俺を王都の学園に通わせたかったみたいだが、俺が随分と嫌がったのと、双子の姉さん達が俺を王都の学園へ通わせることを猛反対したから諦めたようだった。
だが俺がこの地を離れなかったのにはもう一つの理由があった。
それは、女神様からこの地で魔物の脅威を防いで欲しいと言われているからだ。
そしてその為に、俺が3歳の頃から魔法を扱えるようにと、女神様が直々にスパルタ教育をして魔法の正しい使い方を教えてくれていたのだ。
まぁ、それ以外にも色々と何やかんやと有ったのだが、今は気にしないでおこう...。
そして、明日はいよいよ入学式だから、今夜は早めに眠ることにしようと早々にベッドの中へと潜り込んだのだった。
翌朝......。
「エディ、準備は出来ているのか!」
父様が俺の姿を見掛けると、使用人が用意をしておいた馬車の傍から声を掛けてきた。
「はい、大丈夫です。いつでも出掛けられます」
「そうか。ただなぁ、エレンがまだなんだよ」
父様の言葉から、母様が支度に手間取っているようだった。
「あなた、エディ。待たせてしまったわね、ごめんなさい」
「良し何とか間に合ったな。それでは、出掛けるとしよう」
父様、母様、俺と馬車に乗り込むと、御者台に居る執事長のカインが馬に鞭を入れ馬車が静かに動き出した。
そして、20分程で領都の学園へと馬車は到着した。
俺と両親が学園の正門前で馬車から降りると、学園の理事長が歩み寄って来た。
「領主様、この度はおめでとうございます。御子息様の入学を心より歓迎致します」
「おいおい、何だその挨拶は鳥肌が立つぞ。いつもの調子でやってくれ」
「これはこれは、失礼しました。領主様には最後に挨拶をして貰いますから壇上の方に来てくださいね。それから、エディオン君には新入生代表の挨拶をして貰う事になっているからよろしくね!」
「え~、聞いて無いですよ」
「まぁ、簡単で良いから。頑張りなさい」
俺が、王都の学園へ行かなかった事への、父様なりの意趣返しのようだ。
そして、何とか無事に大役を終えた俺はこれから通う事になる学園の教室へとやって来ていた。
俺は1年A組で、学年ではE組までの5クラスとなっている。
そして各クラス20名の編成で、成績順にA~Eに1~5と振り分けてなるべく各クラスが平均的な成績になるように考えられている。
まぁ、日本でいうと公立の小学校になるので、成績の事などは大して問題ではないのだろう。
それにこのやり方の方が、クラスの中での一番は取り易いかもしれない。
それから、貴族も平民も平等に学べるように、貴族の者が身分を盾にした虐めなどをした場合は退学処分となってしまう。
これは、貴族の特権を間違った方向へと使わせないための教育でもある。
さて長々とした説明になってしまったが、少し理解して貰えただろうか。
この日は担任の紹介と、生徒同士の自己紹介、そして一月分のカリキュラムが書かれた資料を受け取り解散となった。
そして、教室を出て学園の正門前へと移動すると、姉さん達を含めた家族全員が馬車の傍で待っていた。
「さぁ、エディ帰ろうか」
「みんなで、待っていてくれたんですか?」
「そうよ。エディの初めての晴れ姿だもの当然でしょう」
「母様、ありがとうございます。そして、姉様もありがとう!」
こうして、俺の学園生活が始まるのだった。
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