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ユダはおもむろに話し出した…店内にかかってる音楽のせいで、あまり聞きとれない。

私はユダの方に軽く身を乗り出す。


[とりあえずは今のままかな…でもいつかは沖縄とかでのんびり暮らしたいな]


[え?ステマリ支店作るんじゃないの?]

トオルが言った。


[ステマリはミクが大きくするさ]

ユダはトオルにそう答え、今度は私に質問した。


[恵美の夢は?]


…私の夢…家族が欲しい…。


[とりあえず普通の幸せが欲しい]

口にした答え。


トオルが笑って言った。

[普通か…愛する人と一緒に暮らし、好きな仕事で家族を養い、見守られて死を迎える…か]


[望みが叶えば誰でも幸せになれるんだ]

当たり前の事を、当たり前のようにユダは言った。


[愛と金と好きな仕事…この3つが揃って初めて幸せになれる]


ユダの言った後に、思い付いた考えを、私は付け加えるように言った。…

[それに健康な体も]


ユダは言い直した…[4つ揃って幸せになれるんだ]


私は得意になった…気分がいい。


ユダの飲みやすく美味しいカクテルを飲み干した…もう何杯飲んだか分からない。


頭痛は離れないが、飲み過ぎたせいだと思う事にした。

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