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午前2時…この時間帯に来たのは失敗だった…これから忙しくなる時間。
店内を見渡す…ステラマリスに来て、私は大きく人生が変わった。
そもそも、トオルと出会って私の人生は変わった。
出逢い…たった1人の出逢いで人生は大きく変わる。
ステラマリス…最高の場所。
だからこそ甘えられない…なぜか、そんな気になってしまう。
何でだろう?…本当は分かってる…ブルーになる気持ちを振り払う。
カウンターの一番端に座り、ユダにチャーハンを注文した。
ユダがポツリと言った。
[恵美らしくていいよ]
私はユダを見た…ユダの後ろ姿しか見えなかった。
ユダは私の前にチャーハンを置きながら言った。
[奢るよ]
ユダの優しさで私は泣きそうになった。
そう…ユダは多分、気付いてた。
私がステラマリスに近づかなかった理由を…。
ここは素敵な場所…幸せが満ちている。
私は幸せじゃない…よそ者。
幸せな人を見ると羨ましくなる。
羨望は嫉妬に変わる。
嫉妬は憎悪に結びつく。
それは避けたかった。
だから幸せな人には近付かないようにしていた。
私は多分、トオルやミクママの幸せな顔を見たくなかった。
どうして私だけ違う世界の住民なの…と、卑屈になりそうで。
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