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命はあっけない。
警察が両親に連絡をした。
両親は口を揃えて言った…電話越しで…[ミスズはもう私達の子ではありません。うちのミスズは15歳の時に亡くなったのです]
質素で簡素なお葬式…骨壺に収まったミスズ…小さかった。軽かった。
遺骨は近くの霊園に納骨した。
両親の代わりにミスズの兄さんが葬式に参加した。
兄さんは弁護士と名乗った。
彼女の身の上話は嘘だった。
真実を知った今、ミスズがなぜこんな性格になったのか、なんとなく理解できた。
彼…ミスズの兄さんは、名刺と共に分厚い封筒を出した。
分厚い封筒…多分お金…多分100万。
私は名刺だけ受け取った。
彼は書類を差し出し、私にペンを渡した。
さすがに見かねたのか、一部始終を見ていたキャサが、怒りあらわに彼に言おうとした。
私はそれを遮り、その書類を一瞥しサインをした。
悲しかった…ミスズが哀れ過ぎた。
模範的な兄と、常識を重んじる両親に、出来の悪いミスズ。
ミスズの家庭環境…簡単に想像できた。
寂しさに男に近寄り、子供を降ろした。
ミスズは自分が許せなかったのだろう…だから無数の手首の傷跡。
だからSMの世界に入った…自分を罰する為に。
罰を受け、許してもらう為に。
私は気づかず言ってしまった…それ位で許されると思ってるの?…。
ミスズの大きく見開いた目…忘れられない。
兄は焼香をし帰った。
書類には、磯野家は磯野ミスズに関し、一切の責任と財産と関係を放棄します…そんな内容だった。
キャサが嗚咽した。
私は立ちすくんだままだった。
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