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トオルは上から下まで白い服…タキシード姿だった。

口には紅いバラを1本くわえていた。


白いドレスの女がひときわ大きい声で笑い声と歓声をあげた。


トオルは私の前に立つと、うやうやしくおじぎをし

「よく生きていましたね。お姫様」

バラを私に差し出し、私の左手首…まだ傷跡が残っている箇所にキスをした。


ユダがそれを見て冗談めいて言った。

「気をつけろよ…トオルのペースだ」


トオルはカウンターに…私の隣に座りながら答えた。

「何お前?妬いてるの?」


ユダの返事…は鼻を鳴らしただけだった。


「何か俺にも作ってくれよぅ」

トオルは甘えた声を出した。

言い終わらないうちに、背の低いグラスがコースターに添えて置かれた。


琥珀色の液体に丸い氷…

「ターキー」

ユダは言った。


トオルは私のグラスにグラスを軽くぶつけた。


「生まれ変わりに乾杯」


私はグラスに口をつけた。私はユダの言う通り、トオルのペースになっていた。

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