初めてのデート

俺は今日、勝負の日。


生まれて初めて 初恋の相手に 告白をします。


目的地は、ヒカリミュージアム。


なぜ、この俺が杏那をデートに誘うことになったかというと、あれは一週間前の話...


「なぁ、雄太さ杏那のこと好きなの?」


「いや、何いきなり。凛太朗こそ美奈のこと好きなの?最近いい感じじゃん。」


「あー、好きだよ。」


「え、マジかよ。いつ告んの?」


「あー、まぁもう付き合ってんだよね。」


「は?聞いてねーよー。マジかよ。」


「言ってねーし。マジでお前好きならちゃんと気持ち伝えろ。じゃないと損すんぞ。」


「ご心配ありがとうございます。でも、僕はこの関係が好きなのでこれ以上は踏み入れません。」


「真面目に、あいつ結構モテっから。」


「マジかー、まぁそうだよな。」


「てかこの前、晃が杏那をデートに誘ってたらしいけど。まぁ、お前にはどうでもいいもんな?」


「え、どゆこと?あいつら付き合ってんのかよ?」


「さぁな、まぁお前はそーゆーの興味ねーんだろ?好きじゃねーもんな。」


「おい、答えろよ。あいつら付き合ってんの?」


「なんで知りたいわけ?お前には関係ないんじゃないの?」


「好きだよっ!俺はあんなが好きだよ。だから他のやつに取られるとか考えたくねーんだよ。」


「じゃ、告れば?」


「でも、晃と付き合ってんなら告れないじゃん。」


「付き合ってなかったら告るのか?」


「もし付き合えるなら告りたい。」


「あー、あいつら付き合ってねーよ。前回のデート晃がチキって告れなかったらしい。」


「じゃあ、俺にもチャンスはあるのか。」


「よーし、決まり。お前、テスト休み空いてっか?」


「まぁ、特に予定はないけど。」


「じゃその日、杏那をデートに誘え。」


「は?」


「帰りに告れよ。」


「はぁぁぁぁああ!?」


で、今に至る。


今日の集合時間は10時。そして只今の時間は朝の5時半。

興奮しすぎて早く起きすぎてしまったらしい。

昨日、杏那に朝寝坊するなと注意したらモーニングを頼まれてしまった。しっまたというよりありがたいお願いだ。杏那と朝から電話とか心臓壊れんぞ。

7時にかけるからあと1時間半何しよう。とりあえず、朝ごはんか....




無事、杏那との電話も終わり暇になった。俺は9時半に家を出れば間に合うというのに今の時間は、8時。あと1時間半、何をしよう。杏那の家は遠いらしいから今頃電車なんだろうな。早めにいってカフェでも入るか。




10:14 a.m.


杏那、電車が遅延してるらしいな。


「雄太っ!遅れてごめん!」


「大丈夫。電車の遅延なんてよくあるからな。」


「じゃ、行こっか。てかミュージアムのチケット代払わなきゃ。いくら?」


「あ、1500円だよ。あとでちょうだい。」


「りょーかい。」


てか、今まで制服しか見たことなかったけど私服可愛くね?

杏那は美人と言うよりかは可愛い系だ。身長は155㎝くらいで痩せ形。短いスカートからは白くて細い脚が、黒いTシャツからは白い細い腕、腰あたりには綺麗なボディーライン、白い顔には少しピンク系の化粧がされていた。

学校にいる時とは別に、少し大人っぽく見える。




10:27 a.m.


電車を乗り換え、目的地へ。


「平日だから電車混んでただろ?」


「本当だよ。もうびっくりしちゃった。」


「この電車、初めて?」


「うん。」


「この電車、もうちょい行けば海が見れるんだ。」


「マジ?私、海が好きなんだ。」


「お、見えてきた。」


「わぁ、綺麗。」


へー、こんな顔すんだな。絵になるわ。

てか、席隣だし近すぎてたまに互いの肌と肌が擦れるたびに心臓が飛び出しそうだ。


11:04 a.m.


目的地到着。


「はい、これチケット代。」


「うす。確かにいただきました。」


「じゃ、入ろっか。」



12:30 p.m.


ヒカリミュージアムをまわり終わった。

これから昼飯だ。ところでいつ告るんだ?タイミングがわからねー。


「ねね、何食べる?私はポテトのLにした−!」


「お前、そんなちっこい体してそんなに食うのかよ。」


「うんっ!ポテト大好きだから!」


可愛いかよ。

ポテトが好きなのか。変わってんな。


「美味しいか?」


「うんっ、めっちゃ美味しい。食べる?」


って、おい。これはいわゆるイチャイチャカップルがよくやってる通称

 ”アーン” ってやつか?


「どーしたの?いらない?」


「いります、いります。」


「そんなにポテト好き?面白いね雄太って。 笑笑」


ポテトじゃなくて あなたが好きです。とか、簡単に言えたらなー。


「このあと、何かする?」


「特に予定はないけど。」


そーいえば、映画を見てロマンチックな雰囲気をつくってからの告白。

聞いたことあるぞ。


「あのさっ!このあと時間ある?」


「あ、うん。」


「映画でも観ない?」


「いいけど、なに観る?」


「あれなんてどう?」


「いいよ。」


「ゆっくり食べてて、俺買って来っから。」


「ありがとー。」


てか、これってノリで言っちゃたけどなんだこれ?

まぁ、いっか。



「お待たせ、はい。チケット」


「あ、お金。」


「あー、俺が奢るよ。俺が誘ったんだし。」


「え、本当にいいの?」


「楽しんでくれればお金なんて安いもんさ。」


「なに、それ。笑笑」


3:26 p.m.


俺らは一番後ろの一番端に座ってる。周りを見ても人が少ない。まぁ、当然か平日だしな。にしても、これホラー映画なんだよな。俺は平気だけど杏那は大丈夫なのか?てか、あいつわかってんのか?


「ねぇ、なんの映画?」


「まー、面白いかもだし。みてみればわかるだろ。」


「そっか、まー楽しみだな。」


って、おい。ホラーだと気づいてない?でも、待て?吊り橋効果か。お互いドキドキしてそれを好きだと勘違いする。これ、いける気がする。


「キャーッ!無理無理無理無理無理無理無理無理....」


「そんなに怖いのか?」


「グスン。怖い。本当に無理。」


「手、」


「え?」


「手、手を出せよ。握っててやるから落ち着け。」


「あ、り が とう。」




6:48 p.m.



無事映画を見終わり、これから帰宅だ。


「ねぇ、映画怖かったんだけど。」


「お前、ホラー無理なの?」


「マジで無理、心臓に悪い。」


「ははは。まだ子供だな。」


「うっさい!」


「ごめんて。」


待てよ、いつ告ればいいの?


「あのさ、杏那。」


「ん?どした?」


「今日は楽しかった、ありがとう。」


「いえいえ、こちらこそありがとう。すっごい楽しかった。」


そんな笑顔で見るな、その笑顔は破壊的なんだよな。


7:46 p.m.


いまだ、告れず。


「あ、私ここで降りるね!また明日!バイバイ!」


「え、お、おい。マジか。」


あーあ、結局告れなかった。明日は絶対、凛太朗から説教だな。


とほほほ。


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