第2話 喰事
追っ手は来ていないようだ。本局のある1区からなるべく遠くへ逃げたかったが、そんな体力は残っておらず、私は2区に逃げ込んでいた。斬られた両腕は再生し終えたものの、それ以外の部位の再生が済んでおらず、衣服も穴だらけで、動こうにも動けない。
「2区は1区同様に捜査の目が厳しい…消されるのも時間の問題か…東京から出るか?しかし、この状態では…」
そんなことよりももっと重大な問題があった。食事だ。食事をしないと、再生もままならず、このままでは理性を持っていかれる。和修家の掟の一つ、「必要以上の死食事を禁ずる」。不幸なことに、前回の食事から一か月近くが経過していた。
「血ィ…肉…再生…だめだ、頭が働かない!にく、ニくを喰わナいと?コロされ?ああああああああ!」
時刻は夜9時を回った頃だろうか。あたりの家には皆明かりが灯っている。今ここでヒトを食べるにしても大事にはしたくない。やつらに見つかるのを早めるだけだ。
家に侵入するにも、窓を破壊してしまっては近隣の注目の的だ。ベランダがある家を狙うか、誰かが帰宅した瞬間を狙って中に入るか…
私は見えない恐怖と戦っていた。喰種にとって負傷は食事の頻度を早めるきっかけとなる。負傷部位が治りきらない今、思考はどんどん狂っていく。本局からいつ追手が仕掛けてくるかわからない。逃げる?落ち着け、まずは食事が優先だ。そんな時だった。一軒だけどこにも明かりが点いていない一軒家があるのを発見したのは。
東京喰種SS 0番隊外伝 HIASOBI @den_Studenten
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