第34話

 アリサの魔法詠唱が終わると同時に、10メートルはあろうかと言う巨大な火の玉が形成されていき城へと放たれた。

 放たれた巨大な火の玉は、古い城の外壁を破壊。

 巨大な爆発を引き起こした。


「アリサ先生すごいです!」

「ふふん! 魔法というのは、イメージで行うのよ!」

「詠唱もアリサ先生が考えたのですか?」

「そうよ! こう見えても私って詩人の才能があったりするから!」


 詩人と魔法師に、どんな関連性があるのか俺には分からない。

 つい、突っ込みを入れるところだったが、何とか自分を抑えることが出来た。


「アリサ先生、魔法ってイメージがシッカリしていれば、使うことができるのですか?」

「出来るけど……、そんなに簡単に身につかないわよ? 一つの魔法を極めるのに最低でもイメージを頭の中で思い浮かべて発動する魔法言語を開発するまで最低でも一ヶ月はかかるもの!」

「一ヶ月……」

「大丈夫よ! アルスには私が考えた最強を教えてあげるから!」

「……あ、はい。それよりも、僕も魔法の練習を一回だけしてみてもいいですか?」

「――え? べ、別に構わないけど、最初からは、絶対に! 上手く出来ないわよ? 自信を無くしても知らないからね?」

「はい、大丈夫です。ちょっと閃いただけなので――」


 そう、俺が閃いた魔法の運用方法。


 イメージが大事なら、日本のサブカルチャーの漫画や小説、そしてアニメの場面を脳裏に思い描いたならどうなるのか? 

 俺は40年以上、それらに触れてきた。


 ――なら、イメージが大事なら魔法が使えるのでは?


「アルス。杖使う?」

「いいえ、大丈夫です!」


 俺は、右手を城の方へ向ける。

 何故か知らないが、城全体が黒い霧のような物に包まれている……そんな気がする。

 もしかしたら城の中に何か火薬のような物があったのかもしれない。

 それなら、大問題だ!

 何かあったら、俺のアリサのせいにされてしまう!


「いきます!」


 俺は頭の中でイメージする。

 上空から隕石が降るイメージだ。

 ここから山の中腹までは、かなりの距離がある。

 成層圏から直径5メートルほどの隕石を落とせば城を破壊して、事実を隠蔽できるかもしれない。


「メテオ・ストライク!」


 俺の確信ある声が周囲に響き渡る。

 俺もアリサも無言だ。

 もちろん、アリサは俺の魔法がどんなのか知らない。

 俺は知っていたが、発動するまでは自慢ぽくなってしまうので言えなかった。

 

 そして……数分待っていたが――。


「…………ダメみたいね」

「はい……」


 アリサの言葉に俺は溜息をついた。

 やはり、魔法は難しいらしい。

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