第4話
水を運ぶ上で鍋が汚れていたら意味が無いと思い洗うことにしたのだが、川水がとても冷たい。
それでも頑張って洗い終える。
そして水を汲んでから家に戻った。
家に戻ると、戸を明けて台所の瓶に汲んできた水を入れる。
「……全然、たまらない……」
これは、予想以上に大仕事になりそうだ。
家から川の距離までは2分。
そして一回に汲める水の量は、瓶の1%にも満たないと思う。
「がんばろ……」
主に俺の衛生に関して――。
水は人が生きていく上で必須なものだからな。
そして――。
俺は頑張った。
川水を鍋で掬っては、家に戻り瓶に水を継ぎ足す作業。
単純だったが、重労働。
ふらふらになりながら、やり遂げたときには、電池が切れたように瓶に水を入れたまま寝ていた。
もちろん、水が入った瓶の中に頭を突っ込んだままでブクブクとしていたので、母親が異常に気がつかなかったら、今頃、またどこかの家に転生していたのかもしれない。
------------------------- 第2部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
魔法の存在。
【本文】
水汲みを俺がするようになってから、すでに一週間が経過していた。
一週間の間に俺が学んだこと、それは自分の力をセーブすること。
何せ、今は中年ではなく子供の身体なのだ。
普通に行動するだけで! 全力全開で! 動いてしまう。
そして、若者というか幼児の肉体年齢に中年精神年齢は引き摺られてしまい、俺も無意識のうちに全力で駆けっこしてしまうのだ。
おかげで連日、自らの体力を制御する力を身につけるために、己を律しているところである。
つまり、何が言いたいのかと言うと、子供というのは業が深いものよ、くくくくっ……。
「アルス! 何をニヤニヤしているの? 今日は、お父さんの帰ってくる日なのだから、早く食べなさい」
「あ、はい……」
妄想を母親であるライラに一刀両断されて目の前の現実に戻ってきた。
俺が転生した世界は、正直に言って料理がとても不味かった。
何せ、ボソボソの水気のない黒パンに、塩味が殆どない具の少ないスープ。さらには、周辺にたくさん生えている野草。
日本人の俺には堪えられない!
俺が食事中に妄想に浸って楽しいことを考えるのも仕方ないと言える。
――というか、楽しいことでも考えてないと食事時間はとてもきつい。
俺は、小さく溜息をつくとタンポポと思われる野草サラダを食べ、黒パンを千切って、薄塩味の殆ど味がしないスープに浸けてふやかしてから食べる。
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