第2話

「古本屋…?」


桑名真琴は件の魔術師が居ると言われている場所に立っていた。

確かにここを訪れ彼にあった者達は皆魔術を掛けられてはいるが外傷は無かったけど、洗脳で頭の中を覗かれるかもしれないと思うとどうしても乗り気になれない。いや、そもそも乗り気じゃなかったか。

隣を見ると白い犬と茶白猫。2人が出した使い魔である。


『ちゃんと見てるから。心の準備ができたら進んでくれ。』


「はい…。」





『…流石に15分は長いよ?これ以上かかるなら…。』


そう言った途端、使い魔が馬琴が履いているズボンを加えて建物まで引きずり出した。


「行きます行きます!今すぐ動きますから!」


そんなに気にするのなら自分で来いよ、と呪詛を吐きながら(使い魔に掴まれていて物理的にも)重い足を伸ばしていった。




ーーーーーー



狭い本の隙間を抜けると広い空間に辿り着く。


「涼しい…それに軽くなった様な…」


気がつくと使い魔はいなくなっていた。

使い魔は何処に。使い魔を2人が戻した?それとも魔術ーー


ペチャ。


「え?」


一瞬、思考する事に集中したが、右腕のヒヤリとした感覚が馬琴を現実に戻した。


「ま、魔法生物っ!?」


身を守るために魔術を発動させようと魔力を練り始め、そして



少年の声が聞こえた途端、その液体状の何かは馬琴から離れ、声の方へ一瞬で移動した。


「…俺はあんたにも言ったんだぜ。」


ハッ、とその言葉を聞いて発動準備が整った魔術を解く。


「…失礼しました。しかし、その使い魔?にいきなり襲われたものでして…」


「本当に?っかしいなー?コイツは魔術に反応して術者を拘束する様に『設定』したんだけどなぁ。だから、魔術を先に発動したのはあんたじゃ無いのか。」


「…すみません。ここに入る時に使い魔を連れてきました。」


「んー?そういうものには反応しない様にしたつもりだったんだけど。またやり直しかな。」


そう言うと、少年はソファに座り、名乗った。


「ようこそ、マカゴル・モーラの魔術基地へ。一番弟子、前田海。よろしく。」




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