第34話【メイド服の行方2】
「一姫ちゃん、本当に良いの?
無理してない?」
母さんは一姫の両肩に手を置き優しい口調で語りかける。
「はい、大丈夫です。
それにせっかく透くんが高いお金を出して買ってくれる物ですから着ないと勿体ないです」
「そうそれもよ!
四着で七十万円って本当なの!?
単純計算、一着十七万五千円でしょ!?
そんな服私でも着たことないわよ!」
母さんが俺に視線を戻しながら言う。
「うん、本当。
値段の事は別にいいだろ。
俺が稼いだ金で買うんだからさ」
「当たり前よ、私のお金だったら張り倒してるわ!」
「オーダーメイドだし、頼んでる人もプロ中のプロだから多分だけどこれでも結構安くしてくれてるはずだよ」
「はぁ、どうして私の息子はこんなメイド大好き変態馬鹿野郎になってしまったのよ。
私どこかで育て方間違えたの?」
母さんは真剣に落ち込み出した。
「おい、聞こえてるぞ」
「あの、お義母さん。
学校の事なのですが」
今更だが一姫は母さんのことをお義母さんと呼ばされている。
最初は透くんのお母さんと呼んでいたのだが母さんが「まだ申請は済んでないけどもう家族同然なんだからお義母さんって呼んで!」とお願いしまくりそれに折れる形で一姫はお義母さん呼びを始めた。
「あ、そうそう。
学校の話だったのよね」
「私としては今の学校を通い続けたいと思っています。
せっかく勉強して入った学校ですし、勉強もすごく遅れてしまっているので編入試験を合格するのは難しいと思います」
俺と一姫が通っている学校はそれなりの偏差値があるのと元々一姫の成績が良かったことから、学校のランクを下げれば編入試験も合格することは出来ると思う。
しかし、母さんの話を聞く前の一姫のように大学に行くつもりが無いのであれば学校のランクをいくつ下げようが痛くも痒くもないが、大学受験の事を考えると学校のランクを下げるのはあまり好ましくない。
「それもそうね。
透と同じ学校なら遅れた分の勉強を教えて貰いやすいし勉強の事を考えると今の学校に通う方がいいのかもしれないわね」
「そ、そんな、透くんに迷惑かけれません。
お仕事も忙しいようですし自分でどうにかします」
「気にしなくていいのよ。
透は何故か成績はいいからどんどん頼っちゃいなさい。
こんな時しか使えないんだから」
酷い言いようだな。
「ですが・・・」
「透も大丈夫よね。
可愛い妹に勉強教えることより重要な事は無いわよね?」
「いや、どう考えても仕事の方が重要だろ。
でも、一姫に勉強を教えるつもりではいたから一日、一、二時間程度なら全然大丈夫だよ。
それよりも一姫は本当に今の学校のままでいいのか?
精神的に」
「・・・大丈夫とは言い難いです。
ですが、転校するリスクとリターンを考えるとこのままの学校に通い続けるほうがいいと思います。
例え転校したとしても私の身の上を知られてしまう可能性はありますからね・・・」
「そうか。
一姫が決めた事なら俺も母さんも応援も支援もするからどんどん頼ってくれ」
一姫が自分で決めた以上、俺達が変に口を挟んで不安を煽る必要は無いので話を終わらすことにした。
「そうよ。
これから家族になるんだから遠慮なんて要らないからね」
「はい、ありがとうございます」
俺達の言葉を聞いた一姫は少し目を赤くしながら頭を下げる。
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今日は特に何も無いです笑
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ではまた、バイバイ(^_^)/~~
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