第31話【そこに座りなさい!】

「おかえり」


俺は服を着て母さん達が居るであろうリビングに入る。


「ただいまぁ〜」


「あ、透くん。

ただいま」


デーンとソファに座っている母さんと何やら書類らしいものを多く持ったか一姫が返事を返してくれる。

一姫は何か用事があるのかそのまま自分の部屋に入っていった。


「結構遅くまでかかったんだな。

で、どうだったんだ?」


「ん〜?

全然進まなかったわよ」


プシューとビール缶を開けながら愚痴ってくる。

家には常備してないのでどこかで買ってきたのだろう。


「おいおい、飲んで大丈夫なのか?

どーやって帰るんだよ」


母さんは一姫と色々なところを回るために車で来ていたはずだ。


「あ〜。

その事なんだけど一姫ちゃんの手続き結構かかりそうだから一姫ちゃんに荷物まとめてもらって明日から当分私の家に泊まってもらう事にしたから。

だから、明日まで泊めてね〜」


「いいけどどこで寝るんだ?」


ベッドは俺が使ってるのと一姫が使っている2つしかこの家に置いていないし、布団もあるにはあるが2LDKなので俺と一姫で二部屋使っているのでどこに敷く?という感じだ。


「別にここでいいわよ」


そう言ってポンポンとソファーを叩く。

「ソファーで寝るのかよ、体が痛くなっても知らないぞ?」など思うことはあるが本人がいいならいいかと何も言わなことにする。


「ゴクッゴクッゴクッ。

プハー!

あー疲れたー。

本当に何であんなにやることが多いのよ。

明確な理由があって、本人達が合意してるんだからとっとと承認しなさいよね!」


「親を変えるって結構な事だし手続きが多いのは仕方ないだろ。

そんな簡単に親が変えられた方がこの国大丈夫か?って心配になるわ」


「わかってるわよ〜。

でも、誰だって何時でも平日に時間を取れるわけじゃないのよ〜。

じゃあ、土日も開けなさいよ!って叫びそうになったわよ」


「まぁ、その気持ちはわかる。

てか、母さんの仕事のことよく知らないんだけど忙しいの?」


母さんが何かしらネットを使った仕事をしているのは知っているが、実際に仕事をしているところを見たことがないし、仕事の内容や収入に関しても一切知らされていない。


「いーや?

別に時間が決まってるわけじゃないよ?

やればやる分だけ収入が入ってくる感じ?」


「じゃあ、平日でも全然いいじゃん」


「まぁ、そうなんだけどね〜。

土日はお父さん休みだから仕事したくないし〜」


「やる分だけ収入が入るってことは別にやらなくても問題ないってことだろ?」


「そうなんだけど〜。

私とお父さんは仕事を早期リタイアして貯金と投資のリターンで優雅に過ごしす予定なの〜。

だから今頑張って働いてるの〜」


「そうですかい」


あんたら投資とかしてたのかよ。

俺母さんの仕事も知らないし、母さん色々隠しすぎじゃない?


「あ〜、今あんた馬鹿にしたわね!

計画ではあと八年ぐらいで出来そうなんだからね!」


「マジか!」


「あ、嘘。

一姫ちゃんの学費とか考えるとあと十年ぐらいかも」


「いや、それでも十分凄いよ!?」


今、母さん達は四十歳の筈なので五十歳で仕事を辞めるらしい。

それで残りの人生本当に大丈夫なのか?

俺投資の事とかよくわからんが投資のリターンだけで生活って出来るものなのか?

投資家ならまだしも一般人が?


「あの!

私、高校卒業までの学費はありますし、高校卒業したら働きます!

生活の面倒を見てもらえるだけでもとても有難いのに学費まで面倒見てもらうわけにはいきません」


いつの間にかリビングに戻って来ていた一姫は母さんが一姫の学費を払うつもりでいることを聞き、声を上げた。


「い〜つ〜き〜ちゃん?」


それを聞いた母さんはフラフラ〜とソファーから立ち上がる。


「はひっ!」


「そこに座りなさい!」


母さんの豹変ぶりにビビっている一姫に母さんはソファーを指さして叫ぶ。


──────────────────

最近は朝、夜寒くて昼が暑いという困った天気で困りますね。

皆さん気温の変化が激しいので体に気おつけてお過ごしください。


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