第19話【私とあの人2】

「そう、それ」


「それがどうしたの?

もしかして振られた?」


「ふ、振られてないよ!

ていうか告白してないし」


「そんな気はしてたけどその人のこと好きなんだ」


「うん。

明確に好きって自覚したのは今日だけど。

もう会えないとも思うと胸がギュッてなって涙が出てくるの。

それで、あぁ。私彼のこと好きなんだなぁって」


「ふぅ〜ん。

良かったじゃない。

それが何で今のお姉ちゃんの状況に繋がるの?

もう会えないってのが関係してる感じ?」


「そうなの。

そのお客さんが一緒に来たお客さんと話してるが聞こえてきたんだけど「当分ここには来ない」「乗り換え」とか「全国のメイド喫茶を回る」とか言っててね私、捨てられるんだって思って泣いて逃げちゃったんだ」


「お姉ちゃんらしいね。

で、どうするの?どうしたいの?」


「ど、どうしたいって言われても、、、。

ねぇー雪奈!どうしたらいいの!」


ベッドから飛び降り椅子に座っている雪奈の腰の辺りにに抱きつく。


「はぁ〜。

私に聞かれても知らないよ。

もうその人とは連絡すらとれないの?」


雪奈が呆れた様子で聞いてくる。


「えっとね。

そのお客さんなんだけど、、、。」


「もう!

ハキハキ話して!

私勉強の手を止めてお姉ちゃんの話聞いてるんだよ!」


私が手を離しその場にペタンと座り込みモタモタしていると雪奈は机をドンドンと叩きながら怒る。


「ご、ごめんなさい!

そのお客さん私と同じ高校に通ってて隣のクラスなの!

名前まではわからないけど廊下を歩いてる時に隣のクラスにいる所を見たことがあるの!」


「じゃあ。

学校で話しかければいいじゃん」


「そ、それは、、、。

恥ずかしいし?」


「ふぅ〜ん。

じゃあもうその人のことは忘れな」


「え?」


いきなりの淡々ともうこの話は終わりと言いたげな妹の言葉に戸惑った。


「お姉ちゃんにとってその人はその程度の人だったんだよ。

その程度の好きな人なら一年もすればまた出来るから切り替えな」


そう言って雪奈は再び勉強を始めた。


雪奈言っていることは正しいと思う。

こんな生半可な気持ちならばその程度と言われても仕方がない。

もう連絡の手段すらないと言うのならまだしも私は絶対に会える場所すらわかっている。それなのにも関わらず自分は人見知りだから、恥ずかしいからなど言い訳を並べて逃げている。

だが、本当にそれでいいのか?本当に私の初恋はその程度のものなのか?いいや。そんなことは無い!私を変えてくれた。昔の大っ嫌いだった自分を少しでも好きになれるきっかけを作ってくれたあの人への想いはその程度じゃない!


「ごめん、雪奈。

私、頑張るよ!

明日、あの人とちゃんと話する!」


「そう。

じゃあ、明日はアルバイトと同じ、いえ、それ以上に御粧しして行かないとね」


「なんで?

いつも通りでいいよ」


「はぁ?

お姉ちゃん何言ってんの?

その人をおとすために会いに行くんでしよ?

あんなクソ陰キャみたいな格好で本当にいいと思ってるの?」


そうだ。

私はあの人と友達になりたいんじゃない。

恋人になりたいんだ。

それなら少しでも着飾って少しでも印象良く思われないといけない。


「う、うん!

そうよね!

私が間違ってたわ!

雪奈、明日の朝御粧し手伝って!」


「おっけ、任せて!

お姉ちゃんをいつもの二倍、いや十倍可愛くしてあげるから!」


「ありがとう、雪奈!」


「そういうのいいから要件が終わったなら自分の部屋戻って。

明日小テストがあって勉強しないといけないのはマジなんだから」


雪奈に軽くあしらわれ部屋から追い出された。


「はぁ〜い。

おやすみー」


「はいはい、おやすみー」


_________________________________________

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本当に嬉しいです。ありがとうございます!

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ありがとうございました(*´▽`*)

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