第11話 依存と気持ち
「せんぱぁい…おはよーございます…」
「んぁ…?んー…おはよ~…今何時だ…?」
スマホで時間を見る。6時半だった。この時間なら2度寝してもいいので寝る。
「ねね~…もっかい寝るから~…おやすみ…」
「だーめーでーすー…起きてくださーい…」
しかし返事は無く、ほんとに先輩は寝てしまった。
土曜日なので私もだらける事にした。そして先輩の隣で横になる。
好きな人が自分の無防備に隣で寝ているのだ。
(これくらいいいよね…?)
そう思い、先輩の腕を私の背中に回す。
先輩に抱きしめられている様で幸せだった。が、これはこれでドキドキして眠れなかった。寧ろ目が覚めてしまった。なので目を開け先輩を見る。
そこに居る先輩はいつもの様に防御の硬かった先輩ではなく、無防備に、気持ちよさそうに寝ている先輩だった。そしてその姿は私しか知らない、私以外が見ることの出来ない先輩の姿だと気付いたら、更にこの人が愛おしくなった。無性に抱きしめたくなった。だから抱きしめた。
すると安心感が生まれた。それもそうだ、愛している人に形だけは抱きしめ合っているのだから。
しばらくすると安心感と幸福感によって睡魔に襲われた。
目が覚めるとそこには無防備に寝ている寧々が居た。しかも僕を抱きしめていたのだ。
しかし、寧々に抱きしめられる事は嫌じゃなかった。寧ろ嬉しかった。だからそのままにした。
無防備に寝る寧々を見てると愛らしく感じた。寧々は今寝ているので起きないだろうと思い。寧々の頭に手を伸ばし、撫でる。すると寧々は満足そうに、幸せそうに笑顔になった。
寧々のそんな顔を見ていると更に愛おしくなったが、これ以上は良くないと思った。これ以上見ていると、おかしくなると確信したからだ。
抱きついている寧々の腕を離すのは惜しかったが、寧々を傷付けるのは嫌だったのでリビングに逃げた。
しばらくすると少し不機嫌気味の寧々がリビングに来た。
「先輩!なんでリビングに居るんですか!起きた時寂しかったです!」
ムスッとした顔でそう言われた。そんな寧々を見て、どんな表現をしても可愛なぁ…と思った。
「ごめんね?」
とだけ言い、頭を撫でる。
「…しょうがないですね…今回はこれだけで許してあげます…」
そう満足そうな笑顔で言われた。可愛かった。
ふと香子にもこんな事をしたな…と思い出す。その時は香子と付き合っていたからなんの躊躇いもなく頭を撫でたり抱きしめられたりしたが、今の寧々との関係は違う、付き合ってなど居なかった。寧々の気持ちは知っているが、僕はまだその気持ちに答えて居なかった。その事を思い出した。
「…寧々、伝えたい事がある…でも…それはまだ言えない…まだ言いたくない…それでも待ってくれるかな…?」
昨日香子と別れて、すぐに寧々とは付き合いたくなかった。そんな乗り換え見たいな事はしたくなかった。
「良いですよ、先輩…私、いくらでも待ちますよ…2年間も届かない気持ちを待ってたいんですよ…?あと少しくらい余裕です…でも…出来れば早くして欲しいです…」
「…ごめん…それは…出来ない…かも、ちゃんと、確認してから応えたいんだ…中途半端に応えて傷つけたくない…」
「分かってますよ、先輩。だからこれは私のわがままです…先輩…待ってますから…」
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