番外編 片思いの後輩

私の名前は優ヶ咲 寧々。

私には大好きな先輩が居る。その人の名前は氷室 冬真。冬真先輩はとても優しい人でバイトで私が分からない事を教えてくれたり。学校生活や日常生活の悩みも聞いてくれる…私のどんなわがままも聞いてくれる。何かあれば直ぐに先輩に頼る、それ程までに私は先輩に依存しているのだ。


私には両親が居ない。厳密には居る。

母はわたしが小さい頃に亡くなっている。微かに残っている記憶の中の母は人一倍優しい人だった。父は少し厳しい人だったが私が何かに成功すると必ず褒めてくれる、そんな人だった。しかし母が亡くなり人が変わったように父は仕事に没頭するようになった。あまり家に帰ることも無くなった。もし帰ってきてもいつも私が寝た後だ。


だから私はいつも1人だった。

先輩の存在を除いて。


先輩だけが私の事を理解してくれる唯一の人。私の心の隙間を埋めてくれるただ1人だけの存在。


…私だけの先輩。




ある日先輩が顔に出る程喜んでいた事があった。他の人だったら分からない程の小さな顔の変化だが、私にはわかる。だから私は先輩に「先輩、嬉しそうですね?何か嬉しかった事があったんですか?」と聞いた。先輩は笑顔で答えてくれた。


「彼女が出来た」


その言葉を聞いて胸がチクッとした…自覚はしている、嫉妬だ。今すぐその女をぶん殴って別れさせたかった。私の先輩を取るな!と言ってやりたかった。だって私には先輩しか無かったから。それにそこは私が夢に見るほど立ちたかった場所なのだから…だけど私は先輩には幸せになって欲しかったのだ。だから私も先輩に彼女が出来たことを心から喜んだ。


だから許せなかった。私から先輩を取った挙句、先輩に辛い思いをさせた事が。それも身投げをしそうになる程自暴自棄にさせた事が。


もし私が貴女だったら私は絶対に辛い思いをさせない。私だったら先輩を泣かせたりしない。私だったら毎日笑顔にする事ができる。私だったら………そんなもしも話が永遠と浮かんだ。


そして逆にも考えた。先輩には悪いと思ったがチャンスだと思った。だって私から先輩を奪った女がわざわざ先輩を捨ててくれたのだ。だから私が拾っちゃえ と、そう思った。

だから私は告白をした。先輩に優しくして、私に依存する様に。

告白すると同時に私が酷く汚れたように感じた。先輩を自分の物にする為に弱っている心に漬け込んだのだから…

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