第3話 忘れられない夜
どれ程泣いただろうか。噴水のように溢れ出る大粒の涙は滝のように流れ頬を伝い、軈て地に落ちた。
何よりも愛していた彼女が他の男に取られていた事が悔しくて更に涙が出た。悔しくて、情けなくて、苦しかった。怒りもあったがそれを打つける相手も居なければ場所もない。だから髪の毛を鷲掴みにし行き場のない感情をぶつけた。
(あぁ…こんな姿誰にも見られたくない…)
そう思いフードを被る。誰もいないのに。
しばらくすると涙も止まり大分落ち着いてきた。涙で濡れた頬が冷たかった。
彼女が寝盗られていたこと、走り疲れたのと、泣き疲れた事があり早く寝たかった。
近くのネカフェを探す為、再度スマホに電源をつける。画面を見てまた泣きそうになったが、今度は出し尽くしたのか出なかった。
時間を見ると12時を回っていた。
近くにネカフェは何処も閉まっていた。渋々ホテルに泊まる事にした。
ホテルに着き、手続きを終え、部屋に入る。
冷えた身体が暖房によって温められ、ようやく休める…と安心した途端睡魔に襲われ、意識が朦朧とし始めた。すぐさま寝たい気持ちはあったが、床で寝るのは嫌だったのでベットまで我慢した。ようやく着いた。1人だと大きすぎるベットに身を委ね、眠りにつく。
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…
「ねぇ!このペンギンのストラップ可愛いくない?お揃いにしよ!」
…やめろ
「せっかくのデートなんだし!写真撮ろ?」
…やめろ!
「わぁ…凄く綺麗な海…連れてきてくれてありがとっ♪」
…やめてくれ…!それ以上は……
「何よアンタ、今頃帰ってきたの?てかもう邪魔だからどっか行ってくんない?私、もう祐介の女なの、わかったら早く出てって」
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「うわぁああああああああぁぁぁ!!!!!」
怒号で見たものを消すかのように叫んだ。
それと同時に体も起き上がった。
「ああああああああぁぁぁ!!!!!」
こびり付いた物を振り払うかのように頭を掻き毟る。
「うぅ…ぅぁ……」
軈て夢だと理解し冷静になるが、また涙出てきた。
「ハァ…ハァ……スゥ…はぁぁ…」
落ち着きを取り戻すために深呼吸をした。
「はぁ…クソ…」
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