第2話 性なる夜

最初に口を開いたのは社会の癌だった。

「はー…シラケちまった…せっかく楽しんでたのによ…あ?もしかしてお前、香子の彼氏かw?」

社会の癌がニヤニヤしながら言った。


最近の猿は進化してるんだなと思った。何せ話してきたからだ。

そう思ってると突然香子が


「何よアンタ、今頃帰ってきたの?てかもう邪魔だからどっか行ってくんない?私、もう祐介の女なの、わかったら早く出てって」

「うっわぁw彼氏チョーかわいそーじゃんw」

「えー?もうあんな奴どーでもいいの!それより早く続きしよーよ♡」

「だってさwじゃ、そーゆ事なんでお疲れーw彼氏くぅんw」


何も言い返す気にならなかった。と言うよりそこまで頭が回らなかった。ただ今はこの場所から消え去りたい。それだけだった。とりあえずここから出よう。

そうして僕は僕の帰る場所であるはずのアパートを出ていった。出て行くときに後からクスクスと聞こえた。












どれほど経っただろうか…

自分が今何処にいるかさえ分からなかった。ただひたすら走っていた。少しでも遠くに行きたかったから。


大分離れ疲れを感じ始めた頃に丁度公園があった。流石に疲れていたのでベンチに座る事にした。

しばらくすると思考が回るようになってきた。

そして初めに思ったのがこれからどうするか。まず最初にしたのが香子との思い出の物を消す事からにした。スマホに残っている数々のツーショット、最初のデートで買ったお揃いのストラップ、LINEから位置情報アプリまで、片っ端から香子に繋がる物を消していった。ただ1つ、記憶を覗いて…


しばらく座っていると急に寒気がした。当たり前だ今は冬だ、外は寒いに決まっている。

今日はもう疲れた…早く休みたい…しかしこんな所で寝るのも嫌なのでスマホで近くのネカフェを探す事にした。その為に画面を開けるとロック画面に設定してある幸せそうに笑ってる僕と香子のツーショット画像が目に入った。その時ようやく涙が出た。



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