第161話 作家の夢をあきらめきれない
今日の患者は井出智弘45歳である。
渋沢吾郎:どうしましたか?
井出智弘:実は夢をあきらめきれないんです。
渋沢吾郎:どんな夢ですか?
井出智弘:作家です。
渋沢吾郎:あきらめなければいいのではありませんか?
井出智弘:私には才能があると思うんですが、世には出ないのです。
渋沢吾郎:出版社は当たってみましたか?
井出智弘:自費出版はダメでした。
渋沢吾郎:でも、まだチャンスはありますよ。カクヨムというサイトをご存じですか?
井出智弘:いいえ。
渋沢吾郎:とてもいいサイトですよ。毎回コンテストがあるし、企画満載ですし。それに、読んでくれる人がいれば広告収入が入ります。
井出智弘:それは凄いですね。画期的です。
渋沢吾郎:どういう小説を書いてるんですか?
井出智弘:私の体験をもとに書いています。
渋沢吾郎:それはいいですね。私みたいな者もあなたの作品の参考になるのですか?
井出智弘:他のクリニックでは小説は簡単ではないとか、儲からないとか悲観論しか言わないので、夢をあきらめるしかないのかと思っていましたが、希望が見えました。ありがとうございます。
渋沢吾郎;希望が見えてきましたか?
井出智弘:はい。頑張ってみようと思います。いい情報ありがとうございます。
と、井出智弘は納得して帰っていった。
そして夜、吾郎は清子と話した。
渋沢吾郎:なあ、清子。今日、作家をあきらめられない人と出会ったよ。
渋沢清子:で、アドバイスしたの?
渋沢吾郎:もちろん。患者を生かすのが自分の使命だからね。
渋沢清子:患者をないがしろにしないのがあなたのいいところよね。他のところは簡単にはいきませんよで終わりよ。その人あなたのところに来れてよかったね。
渋沢吾郎:まあ、彼の救いになれてよかったよ。希望を与えるのがカウンセラーの仕事だからね。
渋沢清子:で、あなたはカクヨムってどこで見つけたの?
渋沢吾郎:それはネットで教えてもらったんだよ。
渋沢清子:へえー。ネットで教えてくれる人がいるんだ。
渋沢吾郎:そうだな。
渋沢清子:で、あなた。今日はどういう楽しい夜を過ごしたい?
渋沢吾郎:清子のマシュマロ胸枕で寝たい。
渋沢清子:私の太ももの枕は飽きたの?
渋沢吾郎:どっちもいいけど、今日は胸を借りるつもりで頑張りたい。
渋沢清子:……。その胸を借りるじゃないでしょ。
と、今日の吾郎と清子はドリームナイトを過ごした。
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