第119話 結婚後の支えになってあげたい人

 次の患者は小島美紀28歳である。

渋沢吾郎:どうしましたか?

小島美紀:好きな人から必要とされていないと不安になります。好きな人とは異性の友人。私もその人も結婚しているし、私は恋愛感情寄りの好きだけど、相手は友達としか思っていません。だから向こうから「会おう」と連絡が来るのは年に1、2回です。私は月1くらいでLINEしてしまう。これぐらいのペースが増えることも減ることもなく、何年も続いています。連絡が来ないと不安になるから連絡してしまう。でも全く来ない訳じゃないから、一応私の存在意義はあるのだと思いたいです。これ以上は望みません。ただずっと、彼にとって必要な人間でいたいです。

渋沢吾郎:なるほど。結構、微妙な感情ですね。

小島美紀:はい、彼の役に立ちたいのです。

渋沢吾郎:これ以上は望まないならいいんですけどね。

小島美紀:本当に、望んでいません。

渋沢吾郎:旦那さんはどう思うでしょうか。下手に深入りはしないがいいと思いますよ。かえって彼に迷惑かけるかもしれません。

小島美紀:そうですか。

渋沢吾郎:確かに、結婚後に好きな人ができるケースもありますが、それは抑えといた方がいいと思います。今の生活が乱れると思います。

小島美紀:そうですか。・・・。

渋沢吾郎:がっくりしないでくださいね。もうあなたは結婚しています。だから、あなたはこれ以上望みませんと言っているのですが、その彼と一緒にいると望みたくなるかもしれません。こういうケースで恋をする女性もいますが、こういう場合控えめにしておいた方がいいと思います。

小島美紀:わかりました。

 と、小島美紀はがっくりとした気持ちで帰っていった。

 夜。吾郎は清子と話した。

渋沢吾郎:なあ、清子。こういう場合どうする?

渋沢清子:たしかに、結婚後も大事だと思う人は出てくることもあると思う。私はあなたが一番大事だけどね。

渋沢吾郎:だが、小島さんは恋愛感情が入ってしまっているからね。どうかなあとは思ったんだけどね。大事にしたい人ができてもおかしくはないけど・・・。励ませなかったなあ。

渋沢清子:これも男女関係のルールなんだからしょうがないよ。

渋沢吾郎:俺も未熟だな。彼女は支えになりたいだけだったもしれん。

渋沢清子:まあ、そういう時もあるよ。一杯やろうよ。

 と、清子は吾郎にビールをついで一緒に飲んだ。

 その後、今日の吾郎は疲れていたので2人は抱きながら寝ることにした。


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