第118話 手ごたえがない
今日の患者は梅田義雄45歳である。
渋沢吾郎:どうしましたか?
梅田義雄:生きる気力がわきません。誰かからずっといじめられ続けています。死にたいです。
渋沢吾郎:深刻ですね。何が起こったのですか?
梅田義雄:何やっても評価されない。本来自分が評価されるはずのものがいじめをしている者が評価を受けている。生きていてもつまんないです。何のために生まれてきたのかわかりません。生きがいがありません。手ごたえの無いほどつまらない人生はありません。しかも、体に攻撃されます。生きていても、もう無理です。
渋沢吾郎:なるほど。未来を信じれなくなっているんですね。
梅沢義雄:はい。攻撃に耐えられる体ではなくなってきています。死んだほうが楽なのです。
渋沢吾郎:では、体がスーとする薬を出します。痛みに耐えられますよ。
梅沢義雄:私の体は大丈夫でしょうか。
渋沢吾郎:体が楽になれば、心が楽になる場合があります。あなたは体がつらくて死にたいと言っているように聞こえます。
梅沢義雄:生きがいに関してはどう思いますか?手ごたえがないことに関してどう思いますか?
渋沢吾郎:まずは、焦らないことです。心のゆとりを作りましょう。体が楽になれば、心にゆとりができます。まず大事なのはあなたの体だと私は思います。
梅沢義雄:わかりました。薬を飲んでみます。
と、梅沢義雄は帰っていった。
そして夜。吾郎は清子と話した。
渋沢吾郎:報われない人生ほどつらいものはないな。
渋沢清子:手ごたえがないというのもつらいね。
渋沢吾郎:この世は不公平だ。頑張っても頑張るだけ誤解される。そんな人生だったら誰だって死にたくなる。
渋沢清子:そうね。手ごたえがあるからやりがいがあるのよね。
渋沢吾郎:そうだよな。梅沢さん。全く手ごたえを感じていないみたい。
渋沢清子:死んでから認められるなんてかわいそうよね。
渋沢吾郎:ああ。生きているうちに手ごたえを感じてほしいな。
と、吾郎は清子の肩を抱きながら話していた。
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