第88話 鬱からの恋愛による復活

 今日の患者は板垣美奈子18歳である。

渋沢吾郎:どうしましたか?

板垣美奈子:私。突然勉強が出来なくなりました。絶望です。

渋沢吾郎:なるほど。偏差値はどのくらいだったのですか?

板垣美奈子:70はありました。でも今は40台です。

渋沢吾郎:それはショックですね。

板垣美奈子:学校では、先生からの目が冷たくなっています。もう、学校へは行きたくありません。

渋沢吾郎:そうですか。記憶力と思考力と理解力がなくなった感じですか?

板垣美奈子:はい。何とかなりませんか?

渋沢吾郎:それは、何か支えるものがなくなったからではありませんか?

板垣美奈子:それは何だと思いますか?

渋沢吾郎:失恋とか。

板垣美奈子:さすがですね。鋭いですね。

渋沢吾郎:それはさておき、これは痛いですね。

板垣美奈子:ですが、どうやったら私の才能は復活しますか?

渋沢吾郎:そうですね。新しい恋人を見つけるしかないですね。

板垣美奈子:でも、私には今の高校生は子供に感じます。

渋沢吾郎:相手は高校生じゃなかったのですか?

板垣美奈子:はい。でも、相手の男性とはうまくいきませんでした。

渋沢吾郎:なら、新しい恋人を作りますか?

板垣美奈子:でも、私は学業があります。どうすればいいですか?

渋沢吾郎:それなら、サークル吾郎に、頭のいい男性がいます。その人に勉強を教わってはいかがですか?

板垣美奈子:その人はどういう人ですか?

渋沢吾郎:その人は才能があるのですが、恋愛で失敗して鬱になった人です。あなたとの相性はいいと思います。

板垣美奈子:そうですか。渋沢先生が才能があるとおっしゃるのであれば、その人は勉強が出来る人なのでしょう。わかりました。一回合ってもいいですか?

渋沢吾郎:はい。では一回会わせてみましょう。

板垣美奈子:ありがとうございます。

 と、吾郎は板垣美奈子に紹介した男の子と合わせた。吾郎の読みどおり、美奈子はその男の子に勉強を教えてもらうことにした。そして、別の日、美奈子は吾郎と会った。

渋沢吾郎:私が紹介したA君はどうでしたか?

板垣美奈子:本当に勉強が出来る人でした。そして私も新しい恋がはじまりそうです。恋人ができて才能が戻ってきて、私は幸せです。ありがとうございました。

渋沢吾郎:私の読みは当りましたね。で、A君はどういう人でしたか?

板垣美奈子:かっこよくて、性格もいいし、何で恋人がいなかったのかが不思議です。でも、その方が私はいいですけど。

渋沢吾郎:それなら、病も治ったのと同然ですよね。

板垣美奈子:はい。ありがとうございます。

渋沢吾郎:では、それではもういいですね。

 と、板垣美奈子は喜んで帰っていった。そして夜、吾郎は清子と話した。

渋沢吾郎:なあ、清子。恋愛でうまくいかなくて、病になる人が結構いるよな。

渋沢清子:でも、あなたは恋愛に手を貸しているから、あなたのところに行ったらいい人を紹介してもらえるという、噂があるわよ。

渋沢吾郎:まあ、これも吾郎流のカウンセリングだ。

渋沢清子:患者にとってはいいけどね。

渋沢吾郎:でも、日本の精神科では恋愛と精神についての密接な関係は理解していないよな。患者のなかで恋人が出来れば治る人は数多くいるのだが、精神病患者の恋愛が否定的なのが日本はまだまだだよな。

渋沢清子:うん。でも、恋愛って本能から来るんでしょ。子孫を残したいから恋愛に集中する。これって自然の摂理よね。

渋沢吾郎:今日の清子は冴えてるな。

渋沢清子:私はいつも冴えてるの。

渋沢吾郎:だが、確かに本能に逆らうと病になる。だが、理性がないと危険だ。だが、性欲を満たしていると大抵は理性は保たれるようようだ。性欲を見たしていないとイライラがどうしてもおこる。これは男女同じなんだ。特に、才能があるものほど子孫を残す役割が課せられる。だから、精神科には頭がいい人間が多いのだ。で、ストレスが一定ラインを超えると崩壊へと導く。だから、恋愛は馬鹿に出来ない。恋愛は学生中で満たされるのが丁度いい。恋愛は必要な時に必要とされる。人によっては中学、高校の時に恋人が必要とされる人がいる。だから、恋愛は学生中が丁度いいのだ。学生時代に学業と恋愛をうまくやりこなすことが重要なのだ。

渋沢清子:今日のあなたは冴えているね。

渋沢吾郎:俺はいつも冴えてるの。

渋沢清子:なら、今日はこの辺で終わろうよ。

渋沢吾郎:そうだな。

 と、二人はこの辺で会話を終わりにして、ドリームナイトを過ごした。


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