第80話 父のストレス
今日の患者は、三島徹21歳である。
渋沢吾郎:どうしましたか?
三島徹:父のことで相談したいことがあります。私の父は、お酒を飲むとすぐにカーッとなり暴力を振るいます。
渋沢吾郎:それで。
三島徹:そして、母と妹は耐えてきましたが、先日酒を飲んだ父に殴られて、母が骨折しました。私は離婚するように何度も母を説得してきましたが、母は「お酒を飲んでいない時は良いお父さんなんだから・・・」といって聞き入れてくれません。ですが、もう我慢の限界です。
渋沢吾郎:なるほど。
三島徹:酒を飲むとわけがわからなくなるのであれば、飲まなければいいのに、酒をやめようとはしませんし、暴れて反省し謝り、しばらくは落ち着きますが、またすぐに暴れるの繰り返しで、もううんざりです。
渋沢吾郎:それで。
三島徹:私は来年就職しますが、就職先は他県で、転勤も多い仕事です。家から離れなければなりません。このままでは、暴れている父を私が力ずくで止めていましたが、母と妹では無理です。母と妹を家に残し、自分が離れるのは心配なのです。母に離婚を決意させるためには、どうしたらいいですか?
渋沢吾郎:離婚は無理だと思います。お母さんはお父さんを愛していますし、お父さん無しでは生きていけないのです。
三島徹:しかし、それでは何も解決できないではありませんか?
渋沢吾郎:この問題のキーポイントは酒にあると思います。酒を飲む理由です。おそらくお父さんはストレスを抱えているのだと思います。例えばお金がないとか。
三島徹:ストレスですか。確かにお金がないですね。
渋沢吾郎:また、仕事でもうまくいっていないのでしょう。ですので、まずは、徹さんが家族の生活費を支えるだけのつもりで仕事をしてはどうですか?
三島徹:なるほど。私の生活費で父を支えるわけですね。
渋沢吾郎:もし、それでもお金が足りないというのであれば、お父さんの仕事の転職を進めます。
三島徹:転職先なんてあるんですか?
渋沢吾郎:仕事にやる気さえあれば、私の会社で働いてもらうこともできます。
三島徹:本当にいいんですか?
渋沢吾郎:はい。
三島徹:わかりました。本当にありがとうございます。
渋沢吾郎:では、今日はこれでいいですね。
三島徹:はい。
と、三島徹のカウンセリングが終わった。
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