第57話 自閉症

 今度の患者は赤石忍、十九歳、女性が診察室に入ってきた。吾郎はいつものように

渋沢吾郎:どうしました。

赤石忍:なんか外の世界が怖いんです。男がたくさん寄ってきますし目線をすごく感じるんです。

渋沢吾郎:自閉症ですか。

赤石忍:そうです。外を一歩歩くたんびに疲れがひどくなりまして、込んでいる電車の車内では痴漢に会うしもうたくさんです。

渋沢吾郎:よく病院までこれましたね。

赤石忍:渋沢先生にはどの人も一目おいているらしいので何か言い方法がないかを聞きに来ました。

渋沢吾郎:十九といったら青春真っ盛りですからね。そういうこともあるかもしれませんね。だけど、外の世界は面白いものもあるんですが。

 忍は首を横に振り、

赤石忍:ダメなんです。

渋沢吾郎:そうですか。まず自分の世界を広げなければなりませんね。ではどうやって自分の世界を広くすればいいかを考えてみましょう。

赤石忍:はい。

渋沢吾郎:本は読めますか。読めるようでしたら本や雑誌を見て自分の興味が持てる部分を探してみてはどうですか。見つかったらそれを探したり深めたりしてみるのも一つの手なんですが。

赤石忍:それも難しいような気がします。

渋沢吾郎:自分ひとりでは怖いという事ですね。

赤石忍:はい。

渋沢吾郎:それで友達はいますか。

赤石忍:親友が一人います。

渋沢吾郎:では二人で町を歩いていれば安心なのではないですか。無理に一人で歩こうなんて思わないで。

赤石忍:そうですね。そうしてみます。

渋沢吾郎:ぜひそうしてください。あと友達の都合が悪い場合で外に行きたいのに行けないという場合は私に言って下さい。

赤石忍:はいわかりました。

渋沢吾郎:では今日はいいですね。

 一週間後、忍がやってきた。吾郎はいつものように、

渋沢吾郎:どうでした。、

赤石忍:私少し元気が出てきました。私より大変な人もいましたので。

渋沢吾郎:ほう。それは誰ですか。

赤石忍:噂なんですが、ある人が世間で滅多打ちにされているという事を聞いたら私のはたいした事ないと思いまして。

渋沢吾郎:そうですか。では大丈夫ですね。

赤石忍:はい。頑張ってみます。

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