第12話 鬱その3

次の患者は大泉翔子22歳である。

渋沢吾郎:どうしました?

大泉翔子:私、急にやる気が出なくなりました。何かをやろうとする元気がありません。

渋沢吾郎:そうですか。

大泉翔子:それに夫の世話も疲れました。

渋沢吾郎:大泉さんは結婚されていたんでしたね。

大泉翔子:はい。

渋沢吾郎:大泉さんは確か主婦でしたね。

大泉翔子:はい。

渋沢吾郎:欝の原因は旦那さんとの生活のようですね。

大泉翔子:その通りです。

渋沢吾郎:セックスは少ないですか?

大泉翔子:セックスと欝は関係あるんですか?

渋沢吾郎:大いに関係があります。その様子ですとしてなさそうですね。

大泉翔子:はい。

渋沢吾郎:それに薬を大量に飲んでいるようですね。

大泉翔子:はい。

渋沢吾郎:あなたの欝の原因は薬だと思います。薬の副作用で、鬱になっているようです。他の病院で誤診されたのかもしれません。

大泉翔子:そうですか。でも、薬はやめてもいいのですか?

渋沢吾郎:急にやめたら操常態になります。徐々にはずしていくといいでしょう。後、夫との関係は、どうですか?

大泉翔子:それなんです。夫は私の主張を無視しているのです。それに耐えられなくて。

渋沢吾郎:なるほど。わかりました。あなたは物凄くエネルギーをもてあましている人です。やりたいことがたくさんあるのでしょう。しかし、結婚生活がそれを邪魔してそれがストレスになっているようです。大泉さんは仕事をなさってはどうですか?

大泉翔子:確かにその通りと思います。結婚生活は私にとって窮屈みたいです。

渋沢吾郎:しかしですね。大泉さん。離婚は考えない方がいいですよ。結婚するということは縁があったからです。縁があるということは恵まれていることなのです。生活のことは旦那さんとよく相談したほうがいいでしょう。また何かあったら相談に乗ります。

大泉翔子:なんだか少し私が見えてきたみたいです。ありがとうございました。

 と、大泉翔子は帰って行った。

 今日は清子と生活について話した。

渋沢吾郎:なあ、清子。夫婦で生活するって本当に大変なことだな。

渋沢清子:でも、それがあるからお互い成長できるんじゃない?

渋沢吾郎:その通りなんだよ。そして、お互いが歩み寄るには話すしかない。また、何かで意思表示をしなきゃいけないと思う。

渋沢清子:でも、相手が理解してもらえないと鬱になっちゃうよね。

渋沢吾郎:本当だよ。しかし、今の世の中本当の理解者って減ってきたなあ。

渋沢清子:いじめも多いしね。

渋沢吾郎:こういう世の中だから、経済も不況になるんだよな。

渋沢清子:そうね。今のひとは自分のことしか考えない人が多すぎる。

渋沢吾郎:そこだよな。だが、根本的に相手の性格を変えるのは、相手を理解させる、また、感動させることが基本だけどな。だけどそれでだめだったらどうしょもないなあ。

渋沢清子:でも、本当に人間関係って難しいよ。で、今日はどんな結論を出すの?

渋沢吾郎:そうだなあ。とにかく、人は誰しもが理解を求めているものなんだよね。人間である限り。で、一番大切なことは、相手に理解されたいのなら相手を理解しろという事かなあ。

渋沢清子:なるほどね。相手が人間だったら成立するね。

渋沢吾郎:今日のところはこの辺でやめとこう。また、今日も楽しい夜にしようよ。

渋沢清子:そうね。でも、私たちって人間でもあり動物でもあるね。

渋沢吾郎:でも、そうじゃなかったら人として生きていけないと思うけど。

渋沢清子:まあ、とにかく今日も素敵な夜にしましょ。

渋沢吾郎:そうだね。

 二人は今日もドリームナイトを楽しんだ。

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