第7話 孤独と噂
次の患者は阿部照夫32歳である。
渋沢吾郎:どうしました?
阿部照夫:私は孤独を感じます。
渋沢吾郎:どういう面でですか?
阿部照夫:みんな、自分に本当のことを話してくれないんです。
渋沢吾郎:何が基準で本当だといっているのですか?
阿部照夫:噂と直接聞くのとでは、言ってることが、違うのです。
渋沢吾郎:噂の情報はどうやって聞くのですか?
阿部照夫:私は噂の的になっている人間ですから、道を歩いていると、話し声が聞こえてくるんですよ。また、電車の中でも、自分の話を耳にします。
渋沢吾郎:自意識過剰といいたいところですが、その判断は当てはまらないようですね。
阿部照夫:はい。それだと納得がいかないのです。
渋沢吾郎:私が思うに、日本人は噂をするのが好きな種族なんですよ。で、はっきりと物を言うことによって、自分に被害が来るのを恐れているんですよ。噂というものは本人に言わないということが原則ですからね。しかし、自分に直接事実を打ち明けてくれた人がいたならば、その人は、本当の親友なのでしょうね。でも、そこまでの親友を見つけるのは容易ではありませんね。
阿部照夫:何か良い方法はないでしょうか。
渋沢吾郎:証拠をつかむしかないですね。人は利益で動く人がほとんどですから、そこをポイントとして証拠をつかんでみてはどうですか?
阿部照夫:わかりました。物凄く参考になりました。ここまで教えてくれた人はあなたが初めてです。ありがとうございます。
渋沢吾郎:いえ。それが商売ですから。
と、阿部照夫との話は終わった。
その夜、吾郎は清子と噂と事実について話した。
渋沢吾郎:なあ、清子。噂って本当だと信じるほう?
渋沢清子:私は、人に対する噂は、半分は頭の中に入れとくけど、実際に会って話をしない限り、100%は信じない。
渋沢吾郎:そうだよな。噂は真実かどうかは正直わからない。デマを流す人もいつからなあ。特に人を傷つける噂は最低だよ。
渋沢清子:そうよね。私はあなたのそういう優しさが大好きよ。
渋沢吾郎:そう、世の中で、一番大切なのは優しさだと思う。そして、それが本当の人徳だと思う。
渋沢清子:そうよね。今、みんな病んでるよね。私は人の悪口は好きじゃない。人を不幸にする人は最低よ。それをだいの大人がやってるからね。
渋沢吾郎:そういう人は最後には崩れていくんじゃないか。どこかでボロが出るよ。
渋沢清子:で、今日の結論はなに?
渋沢吾郎:噂で人を判断するものではない。と言いたい。
渋沢清子:そうよね。人を見抜く目を持ち、人を理解することが、本当の人としての生き方よね。
渋沢吾郎:今日の清子は冴えてるね。
渋沢清子:私はいつも冴えてるの。
渋沢吾郎:今日も楽しく寝るか。
渋沢清子:そうね。今日も感じたい。
二人は今日もベットシーンを楽しんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます