第6話 孤独

 次の患者は川崎美代24歳である。

渋沢吾郎:どうしました。

川崎美代:私、孤独なんです。話す相手が誰もいないんです。

渋沢吾郎:友達が一人もいないのですか?

川崎美代:いることはいるんですが、私を理解できないみたいで。

渋沢吾郎:なるほど、理解されないことを孤独と感じているのですね。

川崎美代:はい。

渋沢吾郎:このことについてですが、世の中にはいろんな人がいます。しかし、世の中には面白いもので、自分と同じ考えを持つ人はどこかに必ずいるものです。私のアイデアなのですが、インターネットをやってみたらどうですか?ブログを作ったり、ホームページを作ったりして、何かしらの反応がそのうち出てきます。まずは、そこから始めてみてはどうですか?

川崎美代:それはいいですね。

渋沢吾郎:後、もう1つ案があるのですが、私は、今、サークル吾郎というものを行っていまして、患者同志が集まって話をする場を提供しています。そこで、コミュニケーションをとってみるのも方法のひとつです。

川崎美代:なにか目の前が明るくなった気分です。渋沢先生のアドバイスって、パンチ力がありますね。

渋沢吾郎:だてに年はとってないですよ。では、そこから始めてみましょう。

川崎美代:はい。ありがとうございます。

 と、川崎美代との診察は今日は終わった。

 その夜、吾郎は清子と孤独について話をした。

渋沢吾郎:本当に今の世の中はどうなっているのだろうか。価値観を共有できる環境は整っているのに、なぜ、人は孤独なのだろう。

渋沢清子:そうよね。今は、ネットで簡単に友達ができるのにね。

渋沢吾郎:そう、今の社会は技術は発展するが、一人一人の人間性が落ちているようにしか思えない。事実を曲げたり、人をいじめたり。俺にはそういう人間の心は考えられないよ。

渋沢清子:今の社会人の痛みをわからない人が多すぎるね。そして、部分部分しか見ていない。判断力も落ちているように思う。

渋沢吾郎:でも、俺はあきらめないぞ。今の社会、少しでも明るくするためにな。

渋沢清子:あなたってかっこいいよね。

渋沢吾郎:清子も素敵だ。

 と、今日もラブラブの夫婦であった。

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