第4話 未来が不安

次の患者は小倉圭介である。

渋沢吾郎:小倉さん、今日はどうしました?

小倉圭介:未来が不安です。

渋沢吾郎:どんな感じに不安なのですか?

小倉圭介:先が見えないんです。

渋沢吾郎:そうですか。でも、みんな先が見えていませんよ。

小倉圭介:いえ、日本という社会についてです。

渋沢吾郎:なるほど。日本の社会に不安を感じるわけですね。

小倉圭介:はい。僕は、このままだと日本はだめになってしまうと思っています。ですが、学歴が高卒のぼくでは、志があっても、どこも相手にしてくれません。いまは、アルバイトで生活をしています。

渋沢吾郎:そうですか。志はどういうものなのですか?

小倉圭介:みんなが幸せにできるような社会にしたいのです。

渋沢吾郎:そうですか。政治家でもなれればいいかもしれませんが、何か自分を誇示できるものがあればいいですね。

小倉圭介:企画力と発想には自信があります。

渋沢吾郎:そうですか。では、本を書いて、世の中に訴えるのもどうですか?

小倉圭介:そうですね。自分の考えていることを整理するにもいいですね。

渋沢吾郎:では、頑張ってみてください。

 と、圭介の診察は終わった。

 吾郎はこのことを妻の清子と話していた。

渋沢吾郎:なあ、清子。今日の患者もそうだけど、本当に今の社会は先が見えないな。問題が発生する一方だ。

渋沢清子:そうね。あなたはカウンセラーから始まって、この社会を変えるためにいろいろ動いているよね。ほんとえらいよ。

渋沢吾郎:そういってもらえると嬉しいよ。近くで自分を見てくれる人がいるって幸せなことだと思う。そう、今の世の中みんな孤立しているから、問題が起きるんだよな。そういう意味では、俺はみんなの理解者になってあげたいそういう気持ちでカウンセラーをやっているんだ。

渋沢清子:あなた。ほんとえらいよ。

渋沢吾郎:清子がいるから頑張れるんだよ。

渋沢清子:私もあなたがいるから毎日やる気があるのよ。

渋沢吾郎:今日は、この辺で話をやめようか。

渋沢清子:うん。

 と、きょうも吾郎は清子との愛を深めていった。

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