第2話 自殺願望の患者
渋沢吾郎:では次の方どうぞ。
患者が診察室に入った。
渋沢吾郎:どうですか。
前野連太郎:実は、今、自殺を考えています。毎日です。
渋沢吾郎:何があったのですか。
前野連太郎:自分に希望がないんです。それに、孤独なんです。また、理解者もいません。
渋沢吾郎:なるほど。前野さんは人生をあきらめようとしていますね。でも、みんな、孤独なんですよ。そして、孤独の中から這い上がって強くなるんですよ。でも、理解者は欲しいですよね。その理解者を求めるために、私のところへ来たのですか。
前野連太郎:はい。渋沢先生は話がわかる先生と聞いていましたので、賭けてみました。
渋沢吾郎:そうですか。希望が無いのはどういう理由ですか。
前野連太郎:自分のやりたいことが出来ない。さらに、配偶者も出来ない。よって、喜びもないし、支えも無い。これが、正直な今の状態です。
渋沢吾郎:希望に対しては、目的を達成するために動くんですよ。もちろん失敗もあるでしょう。だが、協力者は必ず出来ます。人生はすてたものではありません。頑張っている人、試練を受けている人、誤解が解けるのをジーとこらえて待っている人には、必ず、天からチャンスが巡ってきます。それが、この世の道理です。自分の力が信じなければ希望はなくすのは当たり前ですが、それでも、人生を生きている人はたくさんいます。自分だけが絶望を感じているだけです。罪が無ければ、突破口は必ずあります。仮に、目標が出来たとして、それに向かってどうするのかが見つからなければ、また私のところへ来てください。また、支えについてですが、男と女はやっぱい寄り添うもので、相手がいると、存在だけで癒されるかもしれません。そのために、私はサークルを作りました。名前はサークル吾郎です。私は、前野さんがこのサークルに入ることを期待しています。まずはサークル吾郎で、患者同士で話してみてはどうですか。少なくとも孤独はなくなると思います。
前野連太郎:ご助言ありがとうございます。なんか希望が出てきました。ありがとうございました。
そう言って、前野は診察室を出た。
そして、夜、吾郎は清子と自殺願望について話をした。
渋沢吾郎:なあ、清子。今、自殺者が増えているんだよ。何でだと思う?
渋沢清子:そうね。今の人は生きる道が狭い性じゃないかしら。
渋沢吾郎:なるほど。少ないパーターンの人生しか知らないからいきずまったときに、あきらめて自殺をするというわけね。
渋沢清子:あなたはとはどう考えてるの?
渋沢吾郎:清子と似ているよ。自分の将来に希望がないと思ったときじゃないかなあ。ただ、俺はみんなに教えたい。生きる道はたくさんあると。そして最後まで自分の運命はわからない。たとえ今は運がなくてもあきらめちゃいけない。悪いことさえしていなければ、必ず道は開けるものだよ。まあ、悪いこととは詐欺、窃盗といった類だけどね。
渋沢清子:そうね。しかし、今の時代、物事を簡単に決めすぎよね。だから自殺者が出てくるんじゃないかなあ。
渋沢吾郎:今日の清子は冴えてるね。
渋沢清子:私はいつも冴えてるよ。
渋沢吾郎:まあ、とにかく。今の時代あきらめちゃいけない。なにか方法があるはずだよ。それに誰かが導いてくれる人が出てくるかもしれない。だから自殺はしちゃいけない。
渋沢清子:そうよね。自殺はいけないよね。どうやったら防げるかなあ。
渋沢吾郎:俺は実際に自殺した人から聞いたんだが、自殺して生き返った時運気が大幅に下がるんだといってる人がいた。自殺は自分にとっても損をするとその人は言いたいらしかった。
渋沢清子:でも、その人立ち直ったね。
渋沢吾郎:俺が立ち直らせたんだよ。大変だったんだから。
渋沢清子:あなたは偉いよ。優しいし、人の気持ちがわかるし。私ますます好きになっちゃう。
渋沢吾郎:ということは100点満点で言うと1000点ぐらいか?
渋沢清子:そういうところも私は好きよ。
と今日も二人は語り合った。
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