第3話 目を開ければ……
——※¥◇※✕▽$✕◇※□◇!!
ぼんやりとしている中で、なにか……だれか言っているのが聞こえる。
——※¥◇※✕▽$✕◇魔王様!!
声がだんだんと大きく聞こえるようになり、目の焦点も合ってきた。
そこには、目の前いっぱいに広がる赤黒い皮膚と大きな牙を口から覗かせるおぞましい顔がそこにはあった。
「お気づきになられましたか、新しき魔王様!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
これまで出したことがないほどの絶叫をあげる。
後ろにあとずさり、あまりに恐ろしいソレから離れた。
周辺の景色が見える位置までさがると、広い石壁に
そして恐ろしい顔をした怪物が心配そうな表情をしている……気がする。
ここは、難聴天使に送られてきた異世界で、間違いない。
そして、あそこにいる鬼のような怪物の言葉は聞き取れているからきっと魔王に
なっているのだろう。
「先ほどは申し訳ありません。 魔王様をいの一番にお慕い致したく……」
見かけによらず礼儀正しい、しかもよく見ると執事みたいな恰好もしている。
遠目に眺めると若干、恐怖心も薄れるのでさらにその容姿を頭からみていった。
二本の左右の角から枝分かれした先鋭な角と鋭い両手足の爪。黒く大きなコウモリのような折り畳んである羽根。ボディービルダー以上の体に二メートルはあろうかという
「……であり、どうかこのわたくしめにお許し頂けるのであればご慈悲を」
俺があれこれ考えている間に、おそらくは、顔が近づいていた件での理由を言っていたのであろう。だが、こっちもそれどころではない。
"ご慈悲を" ということは、俺が罰でも与えると思っているんだろうか。
ここはひとまず、やんわりと相手を極力刺激しないように心がけて質問するべきだろう。
「えーと……とりあえず今の現状を知りたいんですけど……」
俺の言葉を理解したのかこの悪魔らしいのが片膝をつき、俺の正面に構えた。
「はっ! なんなりとお申し付け下さい。」
見事な受け答えと態度に感涙してしまう。俺の頭の中で言葉を慎重に選び質問を続けていく。
「じゃあ……まず、あなたはどちらさんですか?」
「わたくしは先代魔王様よりお世話をさせて頂いております、マイティ―デーモンのグニルダと申します。」
グニルダと名乗った怪物はやはり悪魔だったようだ。
「マイティ―デーモン? ええっと悪魔かなんかで?」
「はい、いわゆる上級悪魔の種族であります。 新しき魔王さま。」
「あぁそうなんだぁ、じゃあ次はー……ここはどこなんでしょうかね?」
「はい、ここは魔王城 ガダヴォルフの召喚部屋でございます。」
「へぇ、魔王城の召喚部屋なんだここは……じゃあ次は……」
こうして執事のグルニダさんとの数十個の質問で、俺はこの世界と今おかれている現状を知っていった。
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