その13 海のほこら
ルキにエミィが見えている……?
一体どういう事なんだ、妖精は同じ「妖精召喚」の能力を持つ人しか見られなかったはずでは……?
「それは、この空間が私のほこらの中だからではないのでしょうか」
どうやらほこらの中では能力を持っていなくても妖精を見ることができる。
ぶっちゃけて言えば神様自体が妖精の上位みたいな部分があるのでそこでは妖精は具現化されるらしいのだ。
「ルキさんはじめましてなのですー!わたしはエミィ。コウセイさまの妖精なのですよー」
「エミィさん、初めまして。妖精って案外近くにもいるのね」
そうやってルキとエミィが自己紹介をしている間に俺はミリュート神に話しかけてみる。
「どうして僕たちをここへ連れてきたのでしょうか?」
ルキは確かにミリュート神を信仰している。
ただ、光正は無関係だし、なんならミリュート神にとってはあまり都合は良くない人間のはずだ。
「コウセイさん、あなたはアキオス神の使いの者と聞いていますわ。ですから……」
僕は唾をのむ。
こんな早々にこの世界から去る気はない。
「おもてなしをしようと思いまして!」
オ・モ・テ・ナ・シ?言葉を確認していくとどうやら敵対感情は持っていないらしい。
というかそもそも怪しいのであれば「能力視」を使って敵対しているかどうかを確認すればいいじゃないか。
「アキオス神は我々の父なる神でありますのよ、お父さまの使いの者にお茶の一杯も出さないなど、神として失格ですわよ」
「能力視」を使った感じでも敵対しているようには思えないし、確かにアキオスが父親という記述もあった。
本当にあのおじいさんは何者なんだ、ただの最高神じゃないな?
「アキオス神って、どのような神様なのですか?」
いまいちピンと来てなかったようなのかルキが質問を挟む。
このことから分かるようにやはり創造神、最高神であるアキオスは本当に無名らしい。
「あら、そうですわね。アキオス神はこの世界の創造の神ですのよ。一番最初の神様ですわ」
人間からの信仰はほぼ皆無といってもいいのだが神からの信仰はとんでもなく強そうである。
ルキはそれを聞いて「ミリュート神よりも上の神様がいるとは!」と驚いていた。
「それで、コウセイさんは何をお飲みになりますの?」
「そうですね。じゃあ、昆布茶をお願いします」
「わ、私もそれで!」
「今入れますわね。昆布茶なんてセンスありますわね」
とミリュート神に言われたが昆布茶のどこにセンスがあるのかはよく分からなかった。
ただ海なんだから思い当たるものが昆布茶だけだったのだが……。
それは言わないことにしよう。
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