その7 飛行艇
ルキについて少し歩くと目的の建物が見えてきた。
「ここが飛行艇乗り場よ。正午になったら飛ぶからまだ少し時間があるわ」
飛行艇とは木製のいわゆる「船」のような形をしているのだが、内蔵の魔石の効果で浮くことができるらしい。
実物を見ていないので実感がわかないが、説明や絵を見ている限りこの説明意外に思い浮かぶものがなかった。
「今のうちに、乗車チケットを買っておいた方が良いわよ。金貨は持っているでしょう?」
金貨ならたくさん……。
というのは流石に嫌がられるので言わずに少し頷いたあとにチケットを買いに行くことにした。
「あわ、人がたくさんいるのですー」
エミィが起きたようだったので一連の流れを伝えると
「お空を飛ぶ船なのですかー?見てみたいのですー!」
と嬉しそうに目を輝かせていた。
さてチケットを買おうと思ったが、そういえば妖精って一人に入るのだろうか?
「どうかしたのですかー?ごしゅじんさま?」
「いや、妖精って飛行艇搭乗する際チケット買わなくても大丈夫かなって」
「そもそも妖精はごしゅじんさまの一部ですよー?それに妖精は召喚だけじゃなくて召還も出来るのですよー」
そういえばそうだった。
妖精は能力で召喚できるのだから逆に還すこともできる。
ずっと出しっぱなしだったのでそんな事にも気がつかなかった。
「でも、エミィは飛行艇乗ってみたくないの?」
「わたしは見るだけでじゅうぶんなのですー」
じゃあ、飛行艇が来るときまで少し戻っててもらおう。
「次の便ですね、かしこまりました。金貨一枚になります」
どうやら飛行機とは違いクラスの違いは無いようだ。
と思ったが、ここから出る飛行艇はリースィ行きのみのようでリースィからどこかへ行く際の飛行艇はクラスがあるらしい。
会計カウンターの後ろにある壁にはってある貼り紙にそう書いてあっただけだが。
さて、チケットも買ったことだし時間もありそうだったので建物内を探索してみることにした。
街のメインストリートほどではないが結構な数店が並んでいる。
特に注目したのは薬屋だった。
「おぉ、そこのお兄ちゃん。酔い止めは大丈夫かいのぉ?」
そこまで乗り物酔いはするタイプではないため断ったが、それでもなお薬屋のおじいさんは勧めてくる。
「飛行艇はかなり揺れるでのぉ、兄ちゃん大丈夫かのぉ?」
そこまで言われるとなんとなく不安になってくる。
仕方ないので見るだけでも見てみようか。
「特性の酔い止めじゃ、飛行艇の揺れでも酔わんぞぉ」
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名前:酔い止め薬(瓶タイプ)
効果:乗り物酔い状態を防ぐことができる。
備考:乗る直前に飲まないと飛行艇の移動時間と重ならず意味がない、効果時間二時間。瓶は返却しなければならない。
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ちなみに飛行艇の発車時間は今から二時間後である。
確かに瓶タイプの方が安いのだがすぐに飲んで返却しなければならなかったので後で飲める粉タイプにした。
俺の後ろに並んでいた客は瓶タイプを飲んでいた。
……効果が切れちゃうから意味ないんだけどね。
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