第42話 松川くんの事情5
それから悠人に会える日まで色々考えて、悠人を助けるためには母親と話をする必要があると思った。そのことを話そうと公園に行くと、いつもより早く悠人がいた。
「おぅ、悠人! 早いな…悠人?」
悠人は泣いていた。いや、俺の顔を見て泣き出した。
「ままもぼくのこときらいになっちゃった…」
「…ママと喧嘩でもしたのか?」
待ってくれ、これから頼ろうとしている母親まで悪い人にならないでくれ。悠人はママのことが大好きなんだ。その母親が悠人を傷つけるのはやめてくれ。
「…ううん」
首を振る悠人は小さな声で否定した。
「ま…ママに何かされたのか…?」
「ままがいたいいたいした」
その言葉を聞いて、俺は思った。あぁ、もう悠人のまわりに頼れる大人はいないと。俺には母親がいない。だからこそ、母親の悠人への愛情を信じてやりたかった。父さんが俺たちを愛してくれたように、悠人の母親だって悠人と同じように悠人が大好きだって。でも、そんな簡単な話じゃなかった。きっと、悠人より…悠人よりその最低な虐待・DV男を愛したんだ。そんなやつのところに、悠人を帰すことなんてできない。…できるはずがない!
「悠人、今日はお散歩にいこうか」
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