第16話 わからない

 ついに斎藤が学校を休んだ。ホームルームでいじめをした人がどうなったのか話したのは間違いだったのだろうか。担任として、クラスを良くしたい。1人1人を大切にしたい。いじめがあったことを見抜けなかったことに後悔があった。自分と同じ思いを生徒にさせたことが悔しかった。自分なりの言葉で皆に伝えられた気がしていた。だが、答えの出ていないいじめをした人の話は斎藤を苦しめるきっかけづくりになってしまったのかもしれない。いじめをした人と仲良くしたくない気持ちもわかる。だからこそ、仲良くしてやれという以外の方法が見つからない。斎藤も私の生徒だ。彼を助ける方法はないのだろうか。斎藤が鈴木に謝れば少しは違った周りの反応があるはずだが、それが彼にはできないようだ。彼が鈴木に謝れる方法を考えてあげて、斎藤の居場所をクラスに作ってやりたい。


「先生、ちょっといいですか?」

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