第15話 華さん
悠人くんの手がかりとなる高校生の話と高校で聞き取りができることを華さんに伝えにいった。華さんは疲れた顔を少しだけほころばせて「ありがとうございます、早く見つかると嬉しいです」と言った。華さんは悠人くんがいなくなってから元気がない。自分の息子がいなくなって、どんな状況の中に生きているのか、いや生きているかすらもわからない…。そんな状態で元気がないのなんて当たり前だ。悠人くんをすぐに見つけ出すことも、華さんを勇気付けることもできないなんて俺は無力だな…。
「華さん、私が必ず悠人くんを見つけ出します。不安な日々が続いていると思いますが、私にできることがあれば相談してくださいね」
「ありがとうございます。悠人が早く帰ってくるように私ももっと探します。よろしくお願いします」
華さんはその後少し泣いていた。俺はそんな彼女を抱きしめる資格もなく、華さんの前で「必ず見つけます」とか、「頑張りましょう」とかありきたりのことを言いながら立っていることしかできなかった。
「悠人、どこにいるの…。あなたまで失うなんて耐えられない」
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