第9話 新しい日々

 ホームルームの後、何人かのクラスメートが僕に謝りにきました。「ごめんね」って謝ってくれて、泣いている人もいました。僕は正直まだどうすればいいか分からなくて、「まだ考えがまとまっていないけど、許したいなって思っているから、これから仲良くしてほしいです」と素直な気持ちを伝えました。みんなはありがとうとか、ゆっくりでいいから許してもらえるよう頑張るとか、それぞれの言葉をくれました。僕はこれから頑張れるような気がしています。


 みんなにひとしきり囲まれた後、はるくんがやってきました。

「鈴木、大丈夫か? 俺も最近おかしいって気づき始めてた。なのに、何もできなかった。ごめん」

はるくんは僕を助けてくれたのに、とても申し訳なさそうでした。

「はるくんが側にいてくれたおかげで僕は救われてたよ。今日だってはるくんのおかげでいじめが解決する気がしてるよ! ありがとう!」

「いや、ごめん。でも、そうだと嬉しい。これからなんかあったら俺に相談しろよ?」

「僕、はるくんに嫌われたくなくて何も言えなくなってた。信じられなくなっちゃってごめんね。これからは、はるくんに相談する! 頼りないけど、はるくんも僕を頼ってね」

「そうだったのか。俺はずっと鈴木の友達だから、安心しろよ。改めて、これからもよろしくな!」

やっぱり僕の友達、はるくんは最高です。


 あの日から数日が経ちました。はるくんと仲良くなりたかった斎藤くんは、はるくんが僕をかばったあの日から僕たちに関わってくることはなくなりました。そして、いじめもなくなりました。斎藤くんに貸したお金は僕が警察沙汰にはしたくないと言ったこともあって大きな問題にならず、斎藤くんのご両親の謝罪とともに全部返ってきました。クラスのみんなとも少しずつ打ち解けてきました。ただ、先生が言っていたように斎藤くんと関わる人が減ったように思います。無視しているのではなく、触らぬ神に祟りなしと言うように誰も触れたがらないといった感じです。はるくんは「自業自得だとも思うけど、かわいそうだとは思う」と言っていました。僕やはるくんが仲良くするのは同情に見えるし、誰かに仲良くしてあげてと言うのもまた違うと思うので、どうしたらいいのかわかりません。斎藤くんだけは僕に謝ってくれていないし、どうしたら良いのでしょうか…。

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