第7話 いじめ

 さすがにぼくもこれはいわゆる[いじめ]かなって思っていました。それでもはるくんには黙っていたくて…。そろそろいじめられているのを隠すのも難しいかな、なんて考え始めた頃、斎藤くん達は、僕がいじめられているのをはるくんに隠しているって気付いちゃったみたいです。はるくんの目の前で斎藤くんとクラスの子達から水をかけられてしまいました。その時は、水をかけられたことよりも、はるくんにバレっちゃったことの方が怖くて仕方ありませんでした。はるくんに心配させたくないとか言い訳して、僕は本当ははるくんにもいじめられたらどうしようなんて考えてしまっていました。信じたい友達すら疑ってしまう自分も嫌でした。でも、はるくんは僕の気持ちを思いっきり裏切ってくれました、いい意味で。もう一回水をかけられそうになって目を瞑った僕ですが、何も起きませんでした。目を開けると濡れたはるくんが斎藤くんを殴っていました。騒ぎを聞きつけた先生がやってきて、2人の間に入りました。最初は殴ったはるくんが怒られていましたが、はるくんの話を真剣に聞いてくれた先生がクラスのみんな1人1人から話を聞いてくれて、殴ったのは悪いけれどはるくんが僕を守ってくれたとわかってくれました。そして、殴られた斎藤くんは保健室から帰ってきてすぐ先生に呼ばれ、お仲間の皆さんと一緒に叱られていたみたいです。


先生は最後に僕を呼びました。先生は「今回のいじめについて深く知りたいか。知りたくないならこれ以上は触れない」と言いました。僕は「聞きたいです」と答えました。先生の話では、はるくんと仲良しの僕に嫉妬した斎藤くんが腹いせに僕をいじめてたということでした。ひとりぼっちでいじめられている僕なんかはるくんが捨てると思って、斎藤くん達は僕をいじめ続けていたらしいです。周りのみんなは自分もやられるかもしれないといじめに加担したことを認めて、後悔していたとも聞かされました。いじめの連鎖が起きないようにホームルームでこの話を問題にしてもいいかと聞かれました。僕は大丈夫ですと答えました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る