第1部 魔王討伐世界救済編 2章
その日は少し曇りががって今にも雨が降り出しそうな怪しい天候だった。朝食を取っている時もやはりサラは昨日に引き続き機嫌が悪く顔すらも合わせてくれない、今日が一体何の日だというのだか未だに分からないままだった。
「どうしたんだよ朝っぱらからサラと喧嘩でもしたのか?」
今日の分の食料調達しに支度を済ませ森へ入る手前イデアに問われた。
「う~ん、なんか分かんないんだけどサラが今日が何の日か憶えてる?って聞かれたんだけどさっぱり分かんないんだよ・・・。」
「今日か・・・、あぁそういう事か!
「ん? イデア何か分かったの?」
「まぁな、でもあいつが機嫌悪くなるのも仕方ないと思うぜ? 俺だって気づいたときにはちょっと傷ついたもん?」
??何でサラが怒ってることに対してお前もそんな感じになるんだ?ますます困惑のそこに追いやられている気分だ、でもイデアもサラのことに対して何か関係があることはわかった。
「なんなんだよイデア、分かったんなら教えてくれよ!」
「ダメだな、この話に関しては俺もサラの気持ち分かるから反省もかねてお前は自力で思いだしな。」
そう言い捨てイデアは先に森の中に入っていった。
森の中でいつものように食料を調達するついでに修行を行っているうちに本格的に雨が降りだしてきた。
「ジルド! さすがに今日はもう戻ろうぜ! これだけあれば明日分も飯大丈夫だろ!」
「分かった! それにしても凄い降り方だな!!」
戻る道中、川を見ると物凄い勢いで川が濁流を起こしていた。
「まじかよ…こりゃ早く戻らないと俺たちもただ事にならないな、急ごうぜジルド!!」
とにかくお互い教会に向かって大急ぎで走った。
その後なんとか教会にたどり着いた。お互い服がこの豪雨でびしょ濡れだった。
「ちょっとあんた達大丈夫だったの!? 凄い雨だったでしょ!?」
俺たちを迎えてくれたのはサラではなく慌ててタオルを持ってきてくれたシスターミオリアだった。
「あぁ、まさかこんな土砂降りになるとは思わなかったよ。 ありがとうシスターミオリア。」
「まったく、でもあんたら二人とりあえず無事で戻ってきとホッとしたわ。 じゃなきゃあの娘も朝から準備してたのに報われない所だったのだもの。」
ん? シスターミオリアもサラの事を何か知っているような口調だった。
「とりあえず俺は少し疲れたから先部屋に戻ってるわ。」
そう言ってイデアはその場を後にした。
「ねぇ、シスターミオリア今日サラとイデアってなんかある日なの?」
その言葉を聞いたシスターミオリアは目をきょとんとして俺を見ていた。
「え? あんたもしかして忘れてるの? あんた達がこの教会にきて10年経つ日だからってあの娘が何かしてあげたいって計画していたのよ。」
あっ…そういうことだったのか。 そうだ今日は10年前に俺たち3人がこの教会で出会った日だったんだ、あいつらそんな日をずっと覚えていたのに俺とした奴はどこまでのんきな奴だったのだろう…。
「それにしてもあの娘朝のうちに町に買だし行くって言ったっきりまだ帰ってこないわね、こんな天気酷くなっているのに。」
ーバンッ!!ー
いきなり教会の扉を乱暴に誰かが開けて入ってきた。扉の方に顔を向けるとそこには馬車で村から町まで行き来する御者のおじさんが行きを切らして入ってきた。
「ちょ、どうしたのですか!?」
何かただ事では無い事を察してシスターミオリアは走り寄っていった。
「シスター…申し訳ありません、私が走らせていた馬車がここに戻る途中襲われてしまい預からせて頂いたお嬢さんが、行方知らずに…」
それは突然の話過ぎて思わず思考が止まってしまった。
「えっ! そんな事って…一体何が!?」
「本当に申し訳ございません、私としても一瞬の出来事で避けようがありませんでした…ですがもっと酷い事ですが、私たちが襲ったのはこの周辺にいる獣ではありませんでした。恐らくあれは森の奥にいると噂の『ガルバルド』によく似ていました。」
ガルバルド、その名に聞き覚えがある。その昔シスタービエラから森の奥深くには獣の巣窟がありそこで主として体調3メートル近くある大きく凶暴な獣だということを。
普段は森の奥からは出てこなくまた誰もその姿を見た者がいないため噂話に過ぎない程度だっが御者の怯えきったその表情からとても見間違えとは思えなかった。
「シスター、俺行ってくる!!」 このまま黙って立っている間にもサラが危険な状況には違いないと思った時には俺はその言葉を伝えて教会を飛び出していた。
「待って!!ジルドっ!!」
シスターミオリオの言葉に耳を傾けること無く俺はサラの元へと向かった。
「!! イデアにも伝えなきゃ!!」
混乱と動揺の中シスターミオリアは大急ぎでイデアの部屋へと向かい乱暴にドアを開けた。
「イデアっ!! サラが危険なの!! 今ジルドもサラのところに向かっているのだけれど…。」
しかしそこには先に部屋に戻ってベッドで体を休めているはずのイデアの姿は無く、窓が開けっぱなしで外の雨がそのまま入って来てしまい濡れたシーツだけがその場所に残されていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます